タイ語語源

タイ語由来(タイ語が語源)のカンボジア(クメール)語の単語【色と数字】

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タイ語の単語には、クメール語(古クメール語)がその由来とされている語が一定数あります。

同様に、カンボジア語の中にもタイ語由来の語があるんですよね。

本記事では、カンボジア語の単語のうち、タイ語の単語がその語源(由来)になっている語に焦点を当てて、興味深いものをいくつかご紹介します。

著者もすべてを把握できているわけではないのですが、本記事では特に面白いと感じた以下の2点に注目して、単語を見ていきます。

  1. に関する単語
  2. 数字に関する単語

では、はじめます。

【色に関する単語】タイ語由来のカンボジア語

カンボジア語で「緑(の)」を意味する語は「បៃតង(バイトーン(グ))」です。

カンボジア語意味
បៃតង
baitɔːŋ
(バイトーン(グ))
緑の

「バイトーン(グ)」と聞くと、タイ語をご存知の方だとピンとくる方も多いかと思います。

そうなんです、このカンボジア語はタイ語の「ใบตอง(バイトーン(グ))」から来ています。

カンボジア(クメール)語「緑の」
タイ語意味
ใบตอง
baitɔɔŋ
(バイトーン(グ))
バナナの葉

カンボジア語で「青(の)」を意味する語は「ខៀវ(キアオ)」です。

カンボジア(クメール)語「青い」
カンボジア語
青い
タイ語
緑の
ខៀវ
khiˑəw
(キアウ)
เขียว
khǐaw
(khǐao)
(キアオ)

黄色

色に関して、もう一語。

カンボジア語で「黄色(の)」を意味する語は「លឿង(ルーアン(グ))」です。

こちらもタイ語で「黄色(の)」を意味する「เหลือง(ルアン(グ))」がその語源です。

カンボジア(クメール)語「黄色い」

「黄色い」

カンボジア語タイ語
លឿង
lɯˑəŋ
(ルーアン(グ))
เหลือง
lɯ̌aŋ
(lɨ̌aŋ)
(ルアン(グ))

タイ語とカンボジア語の子音字の対応関係(厳密には、サンスクリット語・パーリ語とタイ語・カンボジア語の子音字の対応関係)については、一覧表にまとめたものをご用意しています。

ご興味ある方はこちらからご覧ください(一覧表をダウンロードしていただくことも可能です)。



【数字に関する単語】タイ語由来のカンボジア語

続いて、数字について見ていきます。

カンボジア語の数字の言い方で面白いなぁと思うのは、1〜11や20は全く異なる言い方なのに、「30〜90」の十の位がタイ語由来という点です。

まずは違いを見ていただきたいので、1〜11、20のタイ語とカンボジア語の言い方を並べてみます。

1〜11、20(タイ語由来ではない)

数字カンボジア語タイ語
1មួយ
muoi
(ムオイ)
หนึ่ง
nɨ̀ŋ
(nɯ̀ŋ)
(ヌン(グ))
2ពីរ
piː
(ピー)
สอง
sɔ̌ɔŋ
(ソーン(グ))
3បី
bəi
(バイ)
สาม
sǎam
(サーム)
4បួន
buon
(ブオン)
สี่
sìi
(シー)
5ប្រាំ
pram
(プラム)
ห้า
hâa
(ハー)
6ប្រាំមួយ
pram muoi
(プラム ムオイ)

=5+1
หก
hòk
(ホッ(ク))
7ប្រាំពីរ
pram piː
(プラム ピー)

=5+2
เจ็ด
cèt
(チェッ(ト))
8ប្រាំបី
pram bəi
(プラム バイ)

=5+3
แปด
pæ̀æt
(pɛ̀ɛt)
(ペー(ト))
9ប្រាំបួន
pram buon
(プラム ブオン)

=5+4
เก้า
kâaw
(kâao)
(カーオ)
10ដប់
dɔp
(ドップ)
สิบ
sìp
(シッ(プ))
11ដប់មួយ
dɔp muoi
(ドッ(プ)ムオイ)
สิบเอ็ด
sìp ʔèt
(シッ(プ)・エッ(ト))
20ម្ភៃ
mphèi
(ムペイ)
ยี่สิบ
yîi sìp
(イー・シッ(プ))

※タイ語の1〜10までの音声は、こちらで聴いていただけます。

30〜90

30

さて、ここからが本題です。

20まではカンボジア語とタイ語の数字の言い方が異なることを見てきました。

30からは、十の位のカンボジア語の言い方がタイ語由来になります。

カンボジア(クメール)語とタイ語の数詞「30」

30

カンボジア語タイ語
សាមសិប
saːmsəp
(サー(ム)サッ(プ))
สามสิบ
sǎam sìp
(サー(ム)・シッ(プ))

=3+10

40

カンボジア(クメール)語とタイ語の数詞「40」

40

カンボジア語タイ語
សែសិប
saesəp
(サエサッ(プ))
สี่สิบ
sìi sìp
(シー・シッ(プ))

=4+10

50

カンボジア(クメール)語とタイ語の数詞「50」

50

カンボジア語タイ語
ហាសិប
haːsəp
(ハーサッ(プ))
ห้าสิบ
hâa sìp
(ハー・シッ(プ))

=5+10

60

カンボジア(クメール)語とタイ語の数詞「60」

60

カンボジア語タイ語
ហុកសិប
hoksəp
(ホッ(ク)サッ(プ))
หกสิบ
hòk sìp
(ホッ(ク)・シッ(プ))

=6+10

70

カンボジア(クメール)語とタイ語の数詞「70」

70

カンボジア語タイ語
ចិតសិប
cətsəp
(チャッ(ト)サッ(プ))
เจ็ดสิบ
cèt sìp
(チェッ(ト)・シッ(プ))

=7+10

80

カンボジア(クメール)語とタイ語の数詞「80」

80

カンボジア語タイ語
ប៉ែតសិប
paetsəp
(パエ(ト)サッ(プ))
แปดสิบ
pæ̀æt(pɛ̀ɛt)sìp
(ペー(ト)・シッ(プ))

=8+10

90

カンボジア(クメール)語とタイ語の数詞「90」

90

カンボジア語タイ語
កៅសិប
kawsəp
(カウサッ(プ))
เก้าสิบ
kâao sìp
(カーオ・シッ(プ))

=9+10

【ご参考】1-10をクメール文字・タイ文字で

タイ文字は古クメール文字をもとに作られたものなので似ているのですが、数字は特にその傾向があるように感じます。

数字クメール文字タイ文字
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10១០๑๐

クメール文字に比べ、タイ文字の方が丸みを帯びている印象を受けますがよく似ていますよね。

タイ語学習者の方であれば、数字でしたら、クメール文字を見てどの数字のことかわかるのではないでしょうか。



さいごに|タイ語由来のカンボジア語

本記事では、カンボジア語の単語のうち、タイ語由来のもので色と数字に関する語についてご紹介しました。

今回ご紹介した単語はごく一例で、タイ語由来のカンボジア語、カンボジア語(古クメール語)由来のタイ語は多数ありますので、またご紹介できればと思います。

本記事は以上になります。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

タイ語の語源については別途ご紹介していますので、よろしければあわせてご覧ください。