本記事では、タイ語で「元素、物質」などの意味を持つ単語「ธาตุ(thâat/タート)」の語源を見ていきます。
タイ語 ธาตุ | 説明 |
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読み(発音記号) ※カタカナは参考程度 | thâat (タート) |
意味① | 界(要素、基礎、種族などの意) 万物の構成要素 元素 物質 鉱物 本性 語根、など |
意味② | 仏舎利 (พระธาตุ、พระบรมธาตุなどの語で用いる) |
品詞 | 名詞 |
原語 | ①パーリ語 ②パーリ語/サンスクリット |
タイ語「ธาตุ(thâat/タート)」は、上記①の意味はパーリ語から、②の意味はパーリ語/サンスクリットから来ています。
詳しく見ていきます。
タイ語「ธาตุ(thâat)」の語源
タイ語「ธาตุ(thâat/タート)」の語源は、パーリ/サンスクリット語「dhātu/ッダートゥ」です。
【語源】パーリ語
パーリ語 dhātu | 説明 |
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単語 | dhātu |
タイ文字 表記 | ธาตุ |
意味 | 界 要素 元素 原理 性質 語根 舎利 遺骨、など |
品詞 | 女性名詞 |
【語源】サンスクリット語
サンスクリット語 धातु(dhātu) | 説明 |
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単語 (デーヴァナーガリー文字) | धातु |
単語 (読み) | dhātu (ッダートゥ) ↑ 動詞√dhā より ※後述します |
単語 (タイ文字表記) | ธาตุ |
意味 | 層 成分 要素 身体の根本要素 舎利 語根、など |
品詞 | 男性名詞 |
※こちらでご紹介するサンスクリット語・パーリ語の訳語は、数多くある訳語の中から、タイ語の意味に照らし語源として説明がつく(と思われる)訳語を当サイト著者の独断で選んでおり、恣意的な要素が含まれます。
そのため、他の訳語も確認したいという場合は、どうぞ辞書でご確認いただければと思います(記事の最後に参考文献として掲載しております)。
【考察】語末の「ตุ(tu)」はどういう意味から来ているのか?
ここで気になるのが、単語の末尾の子音字「ต[t]」と、それについている母音符号「ุ[u]」です。
タイ語だと、この「ธาตุ(thâat)」に加え「原因・理由」を意味する「เหตุ(hèet)」も同様に語末の綴りが「ตุ」です。
どちらの単語も原語が「-tu」で終わることによるのですが、その元々の意味が気になり調べてみました。
『増補改訂 パーリ語辞典』やパーリ語文法について書かれたこちらのサイトを参考にさせていただき、以下のように整理してみます。
動詞(語根)√dhā
(ッダー)
:横たえる、置く
+
-tu(m(ṃ))
(不定詞の接尾辞)
「〜するために」
「〜すること」
※動詞から派生した副詞だが
名詞を作ることもある
(“〜のもの”)
=
名詞 dhātu
(ッダートゥ)
:横たわるもの、置かれたもの
→「元素、原理」といった意味に
参照:『増補改訂 パーリ語辞典』 p417
『実用パーリ語文法(Webサイト)』
【まとめ】タイ語で「元素、物質」を意味する「ธาตุ(thâat)」の語源
本記事では、タイ語で「元素、物質」などの意味を持つ単語「ธาตุ(thâat/タート)」の語源について見てきました。
まとめます。
パーリ語/サンスクリット
「dhātu/ッダートゥ」
本記事は以上になります。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
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(通称『モニエル(辞典)』)
(https://www.manduuka.net/sanskrit/dic/mwdic.htm) - 雲井昭善著『新版 パーリ語佛教辞典』
- 水野弘元著『増補改訂 パーリ語辞典』
- 辻直四郎著『サンスクリット文法』
- Jゴンダ:サンスクリット語初等文法
- https://th.wiktionary.org/wiki/วิกิพจนานุกรม:หน้าหลัก(タイ語)
- https://www.manduuka.net/sanskrit/index.htm
- http://apostata.web.fc2.com/pali/pract-pali/pract-pali-13.html