本記事では、タイ語で「原因・理由」といった意味を持つ単語「เหตุ(hèet/ヘー(ト))」の語源を見ていきます。
タイ語 เหตุ | 説明 |
---|---|
読み(発音記号) ※カタカナは参考程度 | hèet (ヘー(ト)) |
意味 | 原因 動機 理由 事件 出来事 事情 |
品詞 | 名詞 |
原語 | パーリ語/サンスクリット |
タイ語「เหตุ(hèet/ヘー(ト))」は、パーリ語/サンスクリットから来ています。
詳しく見ていきます。
タイ語「เหตุ(hèet)」の語源
タイ語「เหตุ(hèet/ヘー(ト))」の語源は、パーリ語/サンスクリット「hetu/ヘートゥ」です。
【語源】パーリ語
パーリ語 hetu | 説明 |
---|---|
単語 | hetu ↑ 動詞 √hi より ※後述します |
タイ文字 表記 | เหตุ |
意味 | 因 理由 由 |
品詞 | 男性名詞 |
【語源】サンスクリット語
サンスクリット語 हेतु(hetu) | 説明 |
---|---|
単語 (デーヴァナーガリー文字) | हेतु |
単語 (読み) | hetu (ヘートゥ) |
単語 (タイ文字表記) | เหตุ |
意味 | 〜の原因、動機 理由 必須の条件 第一次的原因、など |
品詞 | 男性名詞 |
※こちらでご紹介するサンスクリット語・パーリ語の訳語は、数多くある訳語の中から、タイ語の意味に照らし語源として説明がつく(と思われる)訳語を当サイト著者の独断で選んでおり、恣意的な要素が含まれます。
そのため、他の訳語も確認したいという場合は、どうぞ辞書でご確認いただければと思います(記事の最後に参考文献として掲載しております)。
【考察】語末の「ตุ(tu)」はどういう意味から来ているのか?
ここで気になるのが、タイ語の単語「เหตุ」末尾の子音字「ต[t]」と、それについている母音符号「ุ[u]」です。
タイ語だと、この「เหตุ(hèet)」の他に、「ธาตุ(thâat)」の語末のスペルも「ตุ[綴りはtu、音はt]」です。
どちらの単語も原語(パーリ語・サンスクリット)が「-tu」で終わることによるのですが、その元々の意味が気になり調べてみました。
「ธาตุ(thâat)」の語末「ตุ」についてまとめた内容(こちら)をベースに、今回の「เหตุ(hèet)」についても『増補改訂 パーリ語辞典』、パーリ語文法サイトに加え、パーリ語について纏められているこちらのサイト(タイ語)等を参考にさせていただき、以下のように整理してみます。
動詞(語根)√hi
(ヒ/ हि)
:動かす、駆り立てる、促進する
動かされる、駆り立てられる
+
-tu(m(ṃ))
(不定詞の接尾辞)
「〜するために」
「〜すること」
※動詞から派生した副詞だが
名詞を作ることもある
(「〜のもの」)
「hi」→「he」に
(hi+a=he)
※guṇa化(母音交替)
(語根+短母音「a」)
=
名詞 hetu
(ヘートゥ)
:(結果に対して)駆り立てられるもの
:(結果に至るまで)動かされるもの
:(結果を)促進するもの
→「原因、理由」といった意味に
参照:『増補改訂 パーリ語辞典』 p417
『実用パーリ語文法(Webサイト)』
『SERIDHAMMA』(タイ語)
前述のサイトを参考にしつつも、上記はあくまで著者個人の考察(推測)となります。
「เหตุ(hèet)」を含むタイ語単語【一例】
「เหตุ(hèet)」を含むタイ語の単語のうち、よく出てくるものをご紹介します。
タイ語単語 (読み) ※カタカナは参考程度 | タイ語の意味 |
---|---|
เหตุผล (hèet-phǒn) ヘー(ト)・ポン | 理由 |
สาเหตุ (sǎa-hèet) サー・ヘー(ト) | 原因 |
อุบัติเหตุ (ʔùbàttì-hèet) ウバッティ・ヘー(ト) | 事故 |
เหตุการณ์ (hèet-kaan) ヘー(ト)・ガーン | 発生した事件 局面 状況 |
หมายเหตุ (mǎai-hèet) マーイ・ヘー(ト) | 備考 注釈 |
【まとめ】タイ語で「原因・理由」を意味する「เหตุ(hèet)」の語源
本記事では、タイ語で「原因・理由」などの意味を持つ単語「เหตุ(hèet/ヘー(ト))」の語源について見てきました。
まとめます。
パーリ語/サンスクリット
「hetu/ヘートゥ」
本記事は以上になります。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
語源を当ブログに掲載しているタイ語単語
タイ語の他の単語の語源もご紹介しています。
ぜひ他の記事もあわせてご覧ください。
他の単語を調べる
- 冨田竹二郎編『タイ日大辞典』
- 宇戸清治編『パスポート初級タイ語辞典』
- พจนานุกรม ฉบับราชบัณฑิตยสถาน พ.ศ. ๒๕๕๔
(書籍/無料アプリを利用) - 荻原雲来編纂『漢訳対照 梵和大辞典』
- Monier-Williams : A Sanskrit-English Dictionary
(通称『モニエル(辞典)』)
(https://www.manduuka.net/sanskrit/dic/mwdic.htm) - 雲井昭善著『新版 パーリ語佛教辞典』
- 水野弘元著『増補改訂 パーリ語辞典』
- 辻直四郎著『サンスクリット文法』
- Jゴンダ:サンスクリット語初等文法
- https://th.wiktionary.org/wiki/วิกิพจนานุกรม:หน้าหลัก(タイ語)
- https://www.manduuka.net/sanskrit/index.htm
- http://dhamma.serichon.us/2019/04/06/นัยเหตุข้อ-6-ในกาลามสูตร/(タイ語)
- http://apostata.web.fc2.com/pali/pract-pali/pract-pali-13.html