語源(インド系言語)

タイ語からサンスクリット・パーリ語への文字変換の対応表と語原(原語)分類について

タイ語の文字がサンスクリット語やパーリ語にどのように対応しているのかを一覧できる表を作成しました。

タイ語とサンスクリット・パーリ語のの対応関係に加え、タイ文字デーヴァナーガリー文字との対応関係もわかるような表にしましたので、どうぞお役立てください。

なお、本表をダウンロードして使用できるよう、PDF形式のファイルもご用意しました。

こちらからダウンロードしてご利用いただくことも可能です。
【タイ語→サンスクリット・パーリ語】文字対応表(PDFダウンロード)

タイ語PDF資料無料ダウンロード
【タイ・タイ語関連】PDFファイル無料ダウンロード【タイ・タイ語関連資料】PDFファイル無料ダウンロード...

表中に明記した「語原分類(原語分類)」については、本記事後半で説明していますのであわせてご確認ください。

タイ語→サンスクリット・パーリ語への文字変換対応表

子音字【タイ語辞書順】
No.タイ語
タイ文字
タイ語
タイ語
語原分類
Sanskrit
文字 
Sanskrit
音(*1)
パーリ語
1k中性字kk 
2kh中性字 khkh 
3kh中性字 gg 
4kh原有字ghgh 
5ŋ中性字  
6c中性字 cc 
7ch中性字 chch 
8ch中性字 jj 
9s増補字 –– –  
10ch原有字jhjh 
11y原有字ññ(*2) 
12d増補字 – – – 
13t原有字 
14th原有字ṭhṭh 
15th原有字 
16th原有字ḍhḍh 
17n原有字 
18d増補字 – – – 
19t中性字tt(*3)
20th中性字 thth 
21th中性字 dd 
22th原有字dhdh 
23n中性字 nn 
24b増補字–  – –(*4)
25p中性字pp(*4)  
26ph中性字 phph 
27f増補字 ––  – 
28ph中性字bb(*5)
29f増補字– –  – 
30ph原有字bhbh 
31m中性字 mm 
32y中性字 yy 
33r中性字 rr 
34l中性字 ll 
35w中性字vv(*6)
36s原有字ś(*7)
37s原有字ṣ [sh](*7)
38s中性字 ss 
39h中性字 hh 
40l原有字(*8)
41ʔ増補字– –  – 
42h増補字 – –   – 

その他文字

タイ語
タイ文字
タイ語
Sanskrit
文字
Sanskrit
パーリ語
子音
結合文字
yज्ञ(*9)
子音
結合文字
กษksक्षkṣ(*10)
母音rɨ́
(ri, rəə)    
(*11)

【注】

(*1)本来、デーヴァナーガリー文字の子音字には短母音「a」が含まれていますが、ここではタイ語との比較のためあえて「a」を書かずに子音の音のみを表記しております。
(*2)タイ語のญ[y]は結合子音ज्ञ[jñ]を表すことも
(*3) त[t]はタイ語に入るとฏ[t]またはด[d]なることがある
(*4)प[p]はタイ語に入るとบ[b]になることも 
(*5)ब[b]の他に व[v]もタイ語に入るとพ[ph]を表すことがある
(*6)व[v]はタイ語に入ると、ว[w]の他にพ[ph]になることがある 
(*7)パーリ語に「ś」「ṣ[sh]」は存在しない(「s」関係の音は「S[स]」のみ)
(*8)「ฬ」に対応するデーヴァナーガリー文字はなし
(*9)入力は ज[j]+「्」+ ञ[ñ]
(*10)入力は क[k]+「्」+ ष[ṣ]
(*11)デーヴァナーガリー文字は、子音につく場合は形が変わる



タイ語の語原(原語)分類について

タイ語の子音字42文字(元々は44文字)は、その成り立ち(表記原語の種類)によって以下の3種に分類されます。

タイ語の語原(原語)分類

中性(子音)字:21文字

原有(子音)字:13文字

増補(子音)字:8文字(元は10文字)

それぞれ見ていきます。

中性(子音)字

中性(子音)字พยัญชนะกลาง)21文字

[ก ข ค ง จ ฉ ช ต ถ ท น ป ผ พ ม ย ร ล ว ส ห]

:純タイ語、インド系(サンスクリット・パーリ語源)の借用語、どちらの語にも使用される子音字

原有(子音)字

原有(子音)字พยัญชนะเดิม)13文字

[ฆ ฌ ญ ฏ ฐ ฑ ฒ ณ ธ ภ ศ ษ ฬ]

:もっぱらサンスクリット・パーリ語源の語に使用される子音字

(※但し例外あり)

増補(子音)字

増補(子音)字พยัญชนะเติม)8文字(元は10文字)

[ซ ฎ ด บ ฝ ฟ อ ฮ(ฃ ฅ)]

:上記①と②だけではタイ語を表現するのに不足だったため、①や②をもとに、タイ語の音に合わせて自分達で作り足した子音字

【例】

☑︎ ช[中性(子音)字]→ซ[増補(子音)字]

☑︎ ฏ[原有(子音)字]→ฎ[増補(子音)字]

☑︎ ต[中性(子音)字]→ด[増補(子音)字]

そのため、最初にご紹介した一覧表のとおり、増補子音字には、対応するデーヴァナーガリー文字はありません。

【補足】廃字となったタイ語子音字「ฃ、ฅ」について

元々はタイ語の子音字は44字あったが、2文字(ฃ[khɔ̌ɔ khùat/コー・クゥアッ(ト)]、 ฅ[khɔɔ khon/コー・コン])が廃字となり現在の42文字に。

ฃ、ฅの2文字は増補子音字で、13世紀のタイ語に存在したと考えられる口蓋垂音(*qh,*G)を表記するために、それぞれ

☑︎ ข[中性(子音)字]→ฃ[増補(子音)字]

☑︎ ค[中性(子音)字]→ฅ[増補(子音)字]

とข、คをもとに作り出されたもの。

その後、音が変化し、元々の音(*qhや*G)が「kh」になったため、ฃ、ฅの2文字は不要となった。

西暦1927年ラーマ6世の時代に当該2文字廃止され、同(1927)年に発行された辞典には2文字の廃用が記されている(出典『言語学大辞典 別巻 世界文字辞典』)。

(当該2文字は西暦1902年以降使用されず古い書物にのみ登場する、と記している書籍(『หลักภาษาไทย』)もある。)

出所:
タイ日大辞典 p16
言語学大辞典 別巻 世界文字辞典「タイ文字」pp558-568
หลักภาษาไทย(タイ語テキスト) p7, p9