ブログを見てくださった方より、質問をいただきました。
- 通訳案内士(タイ語)一次試験のレベルはどのくらいでしょうか。
実用タイ語検定2級より難しいでしょうか。 - 実用タイ語検定2級に合格するために、おすすめの勉強法があれば教えていただけますでしょうか。
できれば1級もと思い過去問を見てみたのですが、1級はボリュームが多いように感じました。
また、単語の穴埋め、下線が引いてある言葉の意味に近いものを選ぶと、いう問題ができないと思いました。
おそらく5割に満たないと思います。
2級の方が単語のレベルは簡単に感じ、こちらは対策すれば何とかなりそうな気もしています。
1級のタイ語翻訳や日本語訳、長文、リスニングは解くスピードさえなんとかすれば対処可能な気もしますが、
2級よりはやはり難しく感じます。
お答えさせていただく前に、私が現時点(=記事更新時点)で取得している関連資格と、不合格を含めた受験履歴を申し上げますと、
- 通訳案内士(タイ語)一次試験:
2014年合格
2016年合格 - 通訳案内士(タイ語)二次試験:
2017年合格 - タイ語検定2級(日タイ言語交流センター主催):
2013年合格 - TLS実用タイ語検定1級一次試験:
2016年不合格
2017年不合格 - TLS実用タイ語検定2級一次試験:
2011年不合格
2012年不合格
となっており、実用タイ語検定は1・2級とも取得しておりません。
一方、日タイ言語交流センター主催の方のタイ語検定は2級を取得しましたが、こちらの検定試験は2014年秋を以って実施が終了し、現在は行われておりません。
ご覧いただいた通り、実用タイ語検定は準2級止まりです。
そのため、どの程度説得力があるかについては不確かではありますが、受験経験だけは豊富にありますので(全く自慢になりませんが…)、それをベースに話をさせていただきます。
- これ以降に出てくる「タイ語検定」とは、全て「TLS実用タイ語検定」のことを指します。
- 通訳案内士試験の内、外国語が関係する試験科目には、一次試験(筆記)と二次試験(口述)があります。
話を分かりやすくするため、今回タイ語検定と比較をするのは、一次試験(筆記)のみとさせていただきます。
実用タイ語検定1・2級と通訳案内士(タイ語)
一次試験の難易度の差【概要】
私の感想ですが、
タイ検1級 >>>>> 通訳案内士 = タイ検2級
or
タイ検1級 >>>>> 通訳案内士 > タイ検2級
この程度、差があると感じております。
つまり、純粋にタイ語のレベルを見たとき、
- 「タイ語検定1級」と「通訳案内士試験」の間
⇨大きな差がある - 「タイ語検定2級」と「通訳案内士試験」の間
⇨それほどの差はない
ということです。
8月(通訳案内士)と11月(タイ語検定)と、時期的にもそこまで変わらなかったのですが、結果は、
- 通訳案内士試験(一次):合格
- タイ語検定1級(一次):不合格
だったことからも、タイ語検定1級の方が難しいと個人的には感じています。
2021年の全国通訳案内士試験より、外国語科目の一次試験がマークシート方式になり、制限時間が90分となっています。
本記事で比較対象として挙げている「通訳案内士・一次試験(タイ語)」は、私自身が受験経験のある記述式のものです。
マークシートになって生じている(可能性のある)難易度の変化は考慮していませんのでご了承ください。
なお、2021年のタイ語の一次試験(マークシート方式)については、JNTO公式サイト内で過去問が解答つきで掲載されていますので、試験内容をぜひご確認ください。
https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/visitor_support/interpreter_guide_exams/guide_thai_2021.pdf
実用タイ語検定2級 vs 通訳案内士(タイ語)一次試験
実用タイ語検定2級もかなり難しい試験ですから、実用タイ語検定2級に合格する能力を持っていれば、通訳案内士(タイ語)一次試験に合格することは難しくないと思います。
印象として、実用タイ語検定一次試験の筆記試験は、制限時間が1時間と短く、スピード勝負だと思います。
それと比べると、通訳案内士(タイ語)一次試験も記述式ですが、試験時間が2時間ありますので、多少余裕を持って取り組むことができます。
→2021年の通訳案内士試験から、試験時間が90分に変更されています。
通訳案内士試験に必要とされる「特定の知識」
通訳案内士(タイ語)一次試験の方は、日本の歴史・地理・文化に関する事柄がメインで出てきますので、タイ語の能力とは別に、日本のことについて説明するための知識がそれなりに必要になってきます。
例えば、私が受験した2016年の通訳案内士(タイ語)一次試験では、「甚平」についてタイ語で説明する、という作文問題が出題されました。
どんなにタイ語能力があっても「甚平」そのものを知らないと解けませんので、こういった知識も別途勉強する必要が出てきます。
「通訳案内士(タイ語)一次試験」の過去問(2016年~2018年)
こちらの記事でもご紹介した「ハロー通訳アカデミー」のブログ(こちら)で、黒塗りではない一次試験の過去問を一部共有してくださっていますので、ご覧になると具体的にイメージがつかめると思います。
https://blog.goo.ne.jp/gu6970/c/c9561b8761592e276bf69c735745924d
※タイ語は、2016年・2017年・2018年の過去問などが掲載されています
実用タイ語検定2級を合格するために必要な「対策」
「スピード」がカギに
実用タイ語検定上級(1級&2級)のポイントの一つは、間違いなく「スピード」です。1級の方が、スピードがより求められます。
「スピード」の攻略法は色々あると思いますが、
一番は過去問を何年分か(4年くらい)、制限時間内で解いてみることかと思います。
ゆっくり解けば正解するような内容も、時間に追われると上手く解けないことが出てきます。(特に並べ替えの問題など)
作文も、急ぎながら手書きしていくと、意外につまずいたりして、自身の弱点がわかります。
実用タイ語検定試験 過去問題と解答 2級 2017年・2018年
(Yahoo!ショッピングへ)
実用タイ語検定試験 過去問題と解答 1級 2017年・2018年
(Yahoo!ショッピングへ)
略語
実用タイ語検定2級試験では、略語がでてきますので、こちらに面を食らわないよう、よく出てくる略語などを、ある程度特訓しておく必要があると思います。
その他
その他には、読む/書く/聞くという、それぞれの能力を上げていくということなのでしょうが、それは、以前のブログの中で述べたようなことと同じことを続けていく以外にはないのかな、と思っています。
私自身の経験から言えること
私自身の経験を述べれば、最近は仕事でタイ語の文章を
「常に制限時間がある(=納期がある)状態」
で読んでいますので(一日平均A4で5~6枚)、読む速度(※ただ読むのではなく、理解しながら読んでいくという意味です)が格段に上がったように感じます。
タイ語を学習していただけの頃は、時間も余裕がありましたので、「なんとなく読んでしまっていた」ように思います。
このことからも、読解に関しては「ただ読む」「なんとなく読む」のではなく、
「限られた時間の中で集中して読んで意味を理解するように努める」
ことの大切さを感じています。
また、タイ語は、読むだけでも自分で区切りを入れながら読んでいく能力が求められますので、少し離れると、スピードがガクッと落ちると思っていますので、
「常に読み続ける」「常にタイ語に触れる」
こともとても重要なことだと思います。
さいごに:私とタイ語検定1級
偉そうに申し上げましたが、タイ語検定に関しては私自身もまだ挑戦者ですので、いつか1級に合格できればと思っています。
1級は「略語」の問題が出題されない代わりに、「慣用句」や「王様に関連する話(=王室用語)」が出てきます。
読解の量も多く、先に申し上げた通り、まさに「スピード勝負」です。
1級も2級と同じく筆記試験の制限時間は1時間なのですが、2級よりも問題量が多く難易度も上がるので、受験した過去2回とも「制限時間ぎりぎりに何とか埋めた」という感じで、1分の猶予もないような試験でした。
それと比べると、通訳案内士試験の方は、2016年に受験した際は、タイ語検定ほど必死に解かなくても15分ほど時間が余りましたので、そのくらい難易度に差があるということなのではないかと思います(個人差はあると思います)。
最後に、こういった検定・資格試験を受けようかどうしようか迷っておられる方へ、一言だけお伝えさせてください。
「受ければ、受かる可能性も出てくるが、受けなければ絶対に受からない」
試験を受けるのは大変です。お金もかかりますし、準備も必要です。
それでも、受けてみようか、とう思いが少しでもあるなら、(少し無謀でもいいから)ぜひ挑戦してみてほしいと思います。