สนิท (sanìt) 読み | sanìt サニッ(ト) |
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สนิท (sanìt) 意味 | 親しい 親近な 親密な ぴったり合った すっかり |
品詞 | 修飾詞(形容詞・副詞) |
原語 | パーリ語 |
タイ語「สนิท(sanìt/サニッ(ト))」はパーリ語「siniddha-(シニッダ)」がその語源です。
詳しく見ていきます。
タイ語「สนิท」の語源
パーリ語
単語 | siniddha-(シニッダ) |
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タイ文字 表記 | สินิทฺธ |
意味 | 湿った ぬれた 滑らかな 愛情ある 愛されたる、など ※動詞siniyhatiの過去分詞 |
品詞 | 形容詞 |
(語根√snih)
:「湿潤する」「粘着する」「愛情がある」
【参考】サンスクリット語
単語 (デーヴァナーガリー文字) | स्निग्ध- |
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単語 (読み) | snigdha- (スニグッダ) |
単語 (タイ文字 表記) | สฺนิคฺธ |
意味 | 粘着した 柔らかい 執着した やさしい 情愛深い 友情ある、など ※動詞√snihの過去分詞 |
品詞 | 形容詞 |
:「(〜に対して)愛情を感じる」「執着する」
過去受動分詞は、動詞(語根)に「ta/त」を添えて作られるが(*1)、動詞の子音によっては、語末の子音とそれに続く「ta」の間に音の変化が起こることがある(*2)。
・動詞(語根)「愛情を感じる」
:√snih
↓
・過去(受動)分詞「情愛深い」
:snigdha
(←snih+ta)
dha/ध」の部分が、タイ語に入ってきた時に語末が「ท(音はt)」となっている(と考えられる)。
※本来であれば、「dha/ध」をタイ文字に置き換えると「ธ」になる。タイ語には古語で「สนิธ」という語もある(詳細は後述)。
(*1)単語例「อนุญาต」をご参照
(*2)辻直四郎著『サンスクリット文法』p195、『Jゴンダ:サンスクリット語初等文法』p19
過去受動分詞について(タイ語「อนุญาต(許可する)」の語源)
タイ語「ชาติ(生まれること・国家・民族)」の語源
สนิท(sanìt)の綴りについて
タイ語「สนิท(sanìt)」の語源であるパーリ語「siniddha-」をタイ文字で綴ってみると以下のようになります。
siniddha-
↓
สินิทธ
同様に、サンスクリット語「snigdha-」をタイ文字で綴ってみます。
snigdha-
↓
สนิคธ
タイ語の綴り「สนิท」と比べると、例えば前半の「สนิ」の部分はパーリ語ではなくサンスクリット語の綴りが反映されているのではないか、という指摘もあるようです。
つまり、タイ語のสนิทという綴りは、パーリ語とサンスクリット語を(タイ側で)組み合わせてできた綴りではないか、という話です。
辞書ではそこまでは明記されていませんので、本記事では「パーリ語起源」と整理していますが、こういった指摘もあるようなのでここに記しておきます。
タイ語「สนิท」と「สนิธ(古語)」
タイ語の「สนิท(sanìt)」の語源はパーリ語「siniddha-」であることが分かりました。
この「siniddha(サンスクリット語では「snigdha」)」という語の語末は「dha(デーヴァナーガリー文字で「ध」)」です。
本来であれば、「dha/ध」をタイ文字に置き換えると「ธ」になるので、「สนิท」のスペルは厳密には「สนิธ(またはสนิทธ)」なのではないのか?と疑問に感じました。
(タイ文字「ท」に置き換わるのはデーヴァナーガリー文字の「da/द」)。
そこで辞書を改めて見てみたところ、タイ語には古語で「สนิธ」という語が(or も)あったようです。
=タイ語「สนิท(sanìt)」
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(通称『モニエル(辞典)』)
(https://www.manduuka.net/sanskrit/dic/mwdic.htm) - 雲井昭善著『新版 パーリ語佛教辞典』
- 水野弘元著『増補改訂 パーリ語辞典』
- 辻直四郎著『サンスクリット文法』
- Jゴンダ:サンスクリット語初等文法
- https://th.wiktionary.org/wiki/วิกิพจนานุกรม:หน้าหลัก
- https://www.manduuka.net/sanskrit/index.htm