本記事では、ASEAN各国(厳密には、シンガポールとブルネイを除いた8ヶ国)とタイ国内の最低賃金を、それぞれ国別/県別に比較していきます。
【ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国(10ヶ国)】
ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム
【2018年データ】ASEAN各国の最低賃金を比較(バーツ換算後)
国名 | 最低賃金/日/バーツ | 最低賃金/日/円 |
タイ | 308-330 | 1,060-1,136 |
フィリピン | 160-320 | 551-1,101 |
マレーシア | 244-265 | 840-912 |
インドネシア | 105-265 | 362-912 |
ベトナム | 130-190 | 448-654 |
カンボジア | 188 | 647 |
ラオス | 142 | 489 |
ミャンマー | 100 | 344 |
出所:
https://www.smartsme.co.th/content/110109
https://www.sanook.com/money/609817/
https://money.kapook.com/view190475.html
のデータをもとに、当方にて一覧表を作成
補足:
①シンガポールとブルネイについては、法的な最低賃金の定めなし。
②(上記出所に記載はありませんでしたが、次表との整合性を鑑みると)カンボジアのデータは「縫製産業」の賃金と思われます。
③円貨金額は、2018年11月7日付のレート(1バーツ=3.44円)に基づき、当方にて換算
シンガポールとブルネイを除いた8ヶ国だと、タイが最も最低賃金が高いことが分かります。
ASEAN諸国の中で最低賃金が最も低いのがミャンマーですが、タイと比べると、タイの最低賃金はミャンマーの約3.2倍です。
隣国ラオスと比べると、タイの最低賃金はラオスの約2.2倍です。
ベトナムやマレーシアとタイは、そこまで賃金に差はないのかと思っていましたが、わりと差がありますね。
【2018年データ】ASEAN各国の最低賃金を比較(ドル建て)
バーツ建てのみの一覧表だと個人的に不安が残りましたので、検証のために元データとして提示されていた「ASEAN Briefing(https://www.aseanbriefing.com/)」のサイトに掲載されていたUSD建ての最低賃金をベースに、一覧表を作成してみました。
国名 | 最低賃金/日/ドル | 最低賃金/日/円 |
タイ | 9.19-9.85 | 1,041-1,115 |
フィリピン | 4.80-9.61 | 544-1,088 |
マレーシア | 7.64-8.3 | 865-940 |
インドネシア | 3.42-8.59 | 388-973 |
ベトナム | 4.00-5.75 | 453-651 |
カンボジア | 5.66 | 641 |
ラオス | 4.33 | 491 |
ミャンマー | 3.29 | 373 |
出所:
https://www.aseanbriefing.com/news/2018/08/30/minimum-wage-levels-across-asean.html
のデータをもとに、当方にて一覧表を作成
補足:
①シンガポールとブルネイについては、法的な最低賃金の定めなし。
②カンボジアのデータは「縫製産業」の賃金。
③円貨金額は、2018年11月7日付のレート(1 USD=113.17円)に基づき、当方にて換算
④現地通貨建ての金額は、ASEAN Briefingの該当記事内に記載があります。
【2018年】タイ国内の最低賃金を比較(4月1日改定後)
続いて、タイ国内の最低賃金を見ていきます。
日本と同じように、タイでも各県で最低賃金が異なります。
ちなみに、タイ語で最低賃金のことを
- ค่าจ้างขั้นต่ำ
(カー ジャーン カン タム/khâa câaŋ khân tàm) - ค่าแรงขั้นต่ำ
(カー レーン カン タム/khâa rææŋ khân tàm)
と言います。
タイでは、2018年4月1日付で最低賃金の改定がありました。
ดีเดย์ 1 เม.ย.นี้ !! ยกระดับคุณภาพชีวิตแรงงาน ขึ้นค่าแรงขั้นต่ำทั่วประเทศ
นับเป็นข่าวดีมากๆ นะครับ สำหรับการประกาศปรับอัตราค่าจ้างขั้นต่ำ ที่ครม. มีมติเห็นชอบปรับขึ้นค่าจ้างขั้นต่ำ ตามมติคณะกรรมการค่าจ้างชุดที่ 19 (บอร์ดค่าจ้างกลาง) โดยปรับขึ้นค่าจ้างขั… https://t.co/RzDwMxrl6w pic.twitter.com/GiXcyObeHS
— PRD กรมประชาสัมพันธ์ (@prd_official) 2018年3月26日
それを踏まえた県別の一覧表を見てみましょう。
【2018年データ】タイ国内/県別最低賃金一覧表(4月1日改定後)
最低賃金/日/バーツ | 最低賃金/日/円 | 県数 | 県名 |
330 | 1,135 | 3 | チョンブリー、プーケット、ラヨーン |
325 | 1,118 | 7 | バンコク、チャチュンサオ、ナコンパトム、ノンタブリー、パトゥムタニー、サムットプラカーン、サムットサコーン |
320 | 1,101 | 14 | クラビー、コーンケン、チェンマイ、トラート、ナコンラーチャシーマー、アユタヤー、パンガー、ロッブリー、ソンクラー、サラブリー、スパンブリー、スラータニー(サムイ島)、ノーンカーイ、ウボンラーチャターニー |
318 | 1,094 | 7 | ガーラシン、チャンタブリー、ナコンナーヨック、プラーチンブリー、ムクダハーン、サコンナコン、サムットソンクラーム |
315 | 1,084 | 21 | カーンチャナブリー(泰緬鉄道)、チャイナート、ナコンパノム、ナコンサワン、ナーン、ブンカーン、ブリーラム、プラチュアップキリカン(ホアヒン)、パヤオ、パッタルン、ピッサヌローク、ペッブリー、ペッチャブーン、ヤソートン、ローイエット、ルーイ、サケーオ、スリン、アーントーン、ウドンターニー、ウッタラディット |
310 | 1,066 | 22 | ガンペーンペット、チャイヤプーム、チュムポーン、チェンライ、トラン、ターク、ナコンシータマラート、ピチット、プレー、マハーサーラカーム、メーホーンソーン、ラノーン、ラーチャブリー、ランパーン、ラムプーン、シーサケート、サトゥーン、シンブリー、スコータイ、ノーンブアランプー、アムナートジャルーン、ウタイタニー |
308 | 1,060 | 3 | ナラティワート、パッタニー、ヤラー |
77 | 県(全国) |
出所:https://money.kapook.com/view190475.html
のデータをもとに、当方にて一覧表を作成
補足:円貨金額は、2018年11月7日付のレート(1 USD=113.17円)に基づき、当方にて換算
タイ国内/県別最低賃金一覧表のデータから読み取れること
最低賃金が最も高いのが、以下の3県です。
・チョンブリー県
・ラヨーン県
・プーケット県
チョンブリー県には、繁華街パッタヤーや工業団地があります。シーラチャーもあります。
ラヨーン県にも工業団地があります。
プーケット県については、言わずと知れた観光地です。
こういった背景から、最低賃金が他県よりも高くなっているものと思われます。
一方、最低賃金が一番低いのは、こちらの3県です。
・ナラティワート県
・パッタニー県
・ヤラー県
何れも、「タイ深南部」と呼ばれる、マレーシアとの国境またはその付近に位置する3県です。
爆発などが定期的に起きているようですし、治安が不安定ですから遠方からの観光客も少ないことが、賃金にも影響しているように思われます。
さいごに
他国と比べることで、タイの相対的な立ち位置が分かるように思います。
ぜひ活用していただければと思います。