こんにちは。Sripasa(@Sripasaa)です。
今回の記事では、「動詞」に焦点を当てて見ていきます。
「動詞」は、日本語とタイ語で大きく異なります。
日本語の動詞は、活用も含めパターンが多いのに対し、タイ語は語形変化がない「孤立語」に分類されますので、動詞の活用もありません。
(孤立語の代表例は「中国語」です)
今回は、そんな動詞のうち、『自動詞・他動詞』を、タイ語でどう表現するのか?ということについて見ていきたいと思います。
では始めましょう。
自動詞と他動詞:間違い例①「落ちる」と「落とす」
例文①「箸を落とした」
【日本語】
(私は)箸を落としました。
【タイ語】
〈誤〉ฉันตกตะเกียบค่ะ
chán tòk takìap khâ / チャン トック タキアップ カ
〈正〉ฉันทำตะเกียบตกค่ะ
chán tham takìap tòk khâ / チャン タム タキアップ トック カ
例文①の考察
「ตก(tòk / トック)=落ちる」と、自動詞的な意味を持つと認識していたので、「落とす(他動詞)」はどうやって言うんだろう…と思いつつも、他の適当な言い方も思い当たらず、そのまま書いてしまったのですが…。
辞書で調べてみたところ、このような自動詞の意味を持つ動詞を他動詞にするには、「ทำ(tham / タム)+物+動詞」とするか、ทำให้(tham hâi / タム ハイ)を用いて使役形にすることが分かりました。
ตก(tòk)の他に、同じく主に自動詞に用いる動詞としては、以下のものがあります。
【主に自動詞として用いられる動詞】
แตก(tɛ̀ɛk/テーク):割れる、こわれる
บิ่น(bìn/ビン):(茶碗などが)欠ける
เปื้อน(pɯ̂an/プアン):汚れる
หล่น(lòn/ロン):落ちる
ร่วง(rûaŋ/ルアン):(葉などが)落ちる
เสีย(sǐa/シア) :悪くなる、壊れる、腐る
หลุด(lùt/ルット):抜ける、外れる
หก(hòk/ホック):こぼれる
หัก(hàk/ハック):折れる
หาย(hǎai/ハーイ):なくなる(参照:冨田竹二郎編『タイ日大辞典』p694)
「なくなる」と「なくす」、「こぼれる」と「こぼす」
上で挙げた自動詞に用いる動詞と、その動詞をทำ(tham / タム)を使って他動詞に置き換えるケースを2つ挙げてみます。
「鍵がなくなる(自動詞)」:กุญแจหาย (kuncɛɛ hǎai / クンジェー ハーイ)
「鍵をなくす(他動詞)」:ทำกุญแจหาย (tham kuncɛɛ hǎai / タム クンジェー ハーイ)
「コーヒーがこぼれる(自動詞)」:กาแฟหก (kaafɛɛ hòk / カーフェー ホック)
「コーヒーをこぼす(他動詞)」:ทำกาแฟหก(tham kaafɛɛ hòk / タム カーフェー ホック)
しょっちゅう子供が飲み物や食べ物をこぼすので・・・かなり役立つ表現です^^
น้องทำน้ำหก(ノーン タム ナーム ホック)
が使えそうですね\(^O^)/
自動詞と他動詞:間違い例②「起きる」と「起こす」
例文②「電話で起こす」
【日本語】
明後日の朝、電話で起こしましょうか?
【タイ語】
〈誤〉เช้ามะรืนนี้ให้ตื่นโดยโทรศัพท์ดีไหมคะ
cháaw marɯɯnníi hâi tɯ̀ɯn dooi thoorasàp dii mái khá
チャーオ マルンニー ハイ トゥーン ドーイ トーラサップ ディー マイ カ
〈正〉เช้ามะรืนนี้ให้โทรปลุกดีไหมคะ
cháaw marɯɯnníi hâi thoo plùk dii mái khá
チャーオ マルンニー ハイ トー プルック ディー マイ カ
例文②の考察
起きる・目覚める(自動詞)=ตื่น(tɯ̀ɯn / トゥーン)
起こす・目覚めさせる(他動詞)=ปลุก(plùk / プルック)
と、この場合は、自動詞と他動詞で違う動詞を使います。
例文①の動詞「落とす」と「落ちる」のケースとは、ルールが異なるようです。
まとめ:動詞の「自動詞」と「他動詞」のタイ語での表現方法
いかがでしたでしょうか。
タイ語での「自動詞」「他動詞」表現については、以下の通りまとめることができそうです。
◆「落ちる」と「落とす」のように、目的語の前に「ทำ(tham / タム)」をつけ、「ทำ(tham / タム)+目的語+動詞」とすることで、自動詞を他動詞化させることができる単語もある。
◆一方、「起きる」と「起こす」のように、自動詞と他動詞で異なる動詞を用いるケースもある。
つまり単語次第ということ。
「結局単語次第じゃん…」とツッコまれそうですが、動詞10語ほどは上記でリストアップしていますので、
これらの動詞が出てきたときは、「ทำ(tham / タム)」をつけて他動詞にすることを意識するのが良いのではないかと思います。