『独学で勉強しよう!超初心者向けタイ語講座』の第20回です。
第19回講義ではタイ語の類別詞について、その概要と「この〜、その〜、あの〜」という指示語と組み合わせた言い方についてご紹介しました。
(こちらから内容を確認(復習)していただけます)
第20回目の本講義でも、引き続きタイ語の類別詞について、もう少し細かなところ(で知っておくといいと著者が考える事柄)を見ていきます。
- 類別詞と数字「1」との組み合わせ
- 「数字」部分を数量を表す単語(すべての、多くの、いくつかの)に置き換える言い方
- 類別詞と組み合わせて使う疑問詞2種
キー(kìi/กี่)
ナイ(nǎi/ไหน)
(※本講義では触れる程度) - 類別詞と形容詞との組み合わせと語順
- 著者が考える、よく出てくる類別詞(と単位をあらわす言葉)22語
※PDFファイルでダウンロードできます(こちらから)
ですが、日本語の助数詞よりも頻繁に出てきますので、理解できるところからで良いので少しずつでも読み進めていってください。
一度にすべてを理解する必要はありませんので、都度出てきたら本講義(または第19回講義)に戻って復習しつつ、理解を深めていっていただければと思います。
※本講義ではタイドラマのセリフはご紹介しません。あらかじめご了承ください。
では、はじめます。
類別詞と数字「1」との組み合わせ
第19回講義の中で、数を表す言い方は以下の語順となることをお話ししました。
名詞+数字+類別詞
本 7 冊
ナンスー 7 レム
หนังสือ 7 เล่ม
nǎŋsɨ̌ɨ 7 lêm
ここまでは第19回講義で見てきたとおりです。
この数字と組み合わせた言い方ですが、数が「1」の場合に限り、言い方が3パターンあります。
【例1】本1冊
本 1 冊
ナンスー 1 レム
หนังสือ หนึ่ง เล่ม
nǎŋsɨ̌ɨ nɨ̀ŋ lêm
ナンスー レム ヌン
หนังสือ เล่ม นึง
nǎŋsɨ̌ɨ lêm nɨŋ
ナンスー レム ディアオ
หนังสือ เล่ม เดียว
nǎŋsɨ̌ɨ lêm diao
の言い方の場合、 と同じ「ヌン」ですが、「1」を表す音「ヌン」の声調が変わるのに加え、語順が逆になります。
3つの言い方のニュアンスの違い
この
、それぞれの表現のニュアンスの違いを整理してみます。ナンスー 1 レム
หนังสือ หนึ่ง เล่ม
nǎŋsɨ̌ɨ nɨ̀ŋ lêm
→書き言葉(=硬い表現)
ナンスー レム ヌン
หนังสือ เล่ม นึง
nǎŋsɨ̌ɨ lêm nɨŋ
→話し言葉(会話では主にこちら)
※「1」を表す音「ヌン」の声調が「nɨ̀ŋ(หนึ่ง)」→「nɨŋ(นึง)」に変わる点に注意が必要です。
ナンスー レム ディアオ
หนังสือ เล่ม เดียว
nǎŋsɨ̌ɨ lêm diao
→数字「1」を強調
(欲しい(必要な)数は(2や3ではなく)「1」だけである、ということ)
【例2】ケーキを一切れください
もう一文、例を挙げてみます。
「ケーキを一切れください」という時の表現です。
「〜をください」は「コー(ขอ/khɔ̌ɔ)」という語を使って表すことができます。
「コー(ขอ/khɔ̌ɔ)」はよく出てくる単語で、おさえておいたほうが良い(と著者が考える)ポイントがあります。
応用編第3回『コー(ขอ)の2つの使い方』で詳しく解説していますので、どうぞあわせてご覧ください。
ここでは、「コー(ขอ/khɔ̌ɔ)」の後ろに名詞を置くと「(名詞)をください」という表現になることを知っていただければと思います。
ケーキをください
(*1)(カ/クラップ(*2))
khɔ̌ɔ khanǒm-khéek(khâ/khráp)
ขอ ขนมเค้ก(ค่ะ/ครับ)
(*1)「ケーキ」はタイ語で「カノム・ケーク(khanǒm-khéek/ขนมเค้ก)」
(*2)文末の「カ」「クラップ」については第5回講義でお話ししています
上記の表現に「(ケーキ)一切れ」を含めた、「ケーキを一切れください」と言いたいときの表現を見ていきます。
「〜切れ」という意味の類別詞は「ชิ้น(チン/chín)」です。
カノム・ケーク 1 チン(カ/クラップ)
ขอ ขนมเค้ก หนึ่ง ชิ้น(ค่ะ/ครับ)
khɔ̌ɔ khanǒm-khéek nɨ̀ŋ chín(khâ/khráp)
※書き言葉(=硬い表現)
カノム・ケーク チン ヌン(カ/クラップ)
ขอ ขนมเค้ก ชิ้น นึง(ค่ะ/ครับ)
khɔ̌ɔ khanǒm-khéek chín nɨŋ(khâ/khráp)
※話し言葉(会話では主にこちら)
※「1」を表す音「ヌン」の声調が「nɨ̀ŋ(หนึ่ง)」→「nɨŋ(นึง)」に変わる点に注意が必要です。
カノム・ケーク チン ディアオ(カ/クラップ)
ขอ ขนมเค้ก ชิ้น เดียว(ค่ะ/ครับ)
khɔ̌ɔ khanǒm-khéek chín diao(khâ/khráp)
※「一切れ」を強調
(欲しいのは「二切れ」や「三切れ」ではなく「一切れ」だけである、ということ)
「数字」部分を数量を表す単語に置き換える言い方
続いて、これまで見てきた「本7冊」という言い方の「数字」の部分を、「すべての、多くの、いくつかの」といった、数量を表現する別の単語に置き換える言い方をご紹介します。
では、第19回講義で見た「日本人3人」という言い方を確認してみましょう。
日本人 3 人
コン・イープン 3 コン
คนญี่ปุ่น 3 คน
khon yîipùn 3 khon
この数字「3」の部分を、「すべての」や「多くの」といった単語に置き換えることで、「すべての日本人」「多くの日本人」といった意味にすることができます。
すべての日本人
(日本人全員)
コン・イープン トゥック コン
คนญี่ปุ่น ทุก คน
khon yîipùn thúk khon
多くの日本人
コン・イープン ラーイ コン
คนญี่ปุ่น หลาย คน
khon yîipùn lǎai khon
何人かの日本人
コン・イープ バーン(グ)コン
คนญี่ปุ่น บาง คน
khon yîipùn baaŋ khon
このパターンが使える単語は以下のとおりです。
タイ語単語 | 意味 |
---|---|
トゥック thúk ทุก | すべての |
ラーイ lǎai หลาย | 多くの |
バーン(グ) baaŋ บาง | いくつかの |
キー kìi กี่ | 何〜 (数を尋ねる疑問詞) ※後述します |
この4語は、後ろに必ず類別詞が来る、という点がポイントです。
類別詞を必要とする疑問文2種「キー/กี่」と「ナイ/ไหน」
疑問文を作る疑問詞は後の講義回で学習する予定ですが、類別詞とセットで疑問文を作る疑問詞が2語あります。
ナイ(nǎi/ไหน)
ここではこの2つの疑問詞の使い方と、語順(これがポイント)について簡単にお話しします。
類別詞と組み合わせて使う疑問詞①キー(กี่)
1つ目は、「何〜」という、数を尋ねる際に用いる疑問詞「キー(kìi/กี่)」です。
この語は、先ほど見た「すべての、多くの、いくつかの」を使った語順と同様、名詞と類別詞の間に「キー(kìi/กี่)」を入れて疑問文を作ります。
名詞+キー(kìi/กี่)+類別詞
※名詞は、文脈や状況で理解できる場合は省略可
疑問文の例を2文挙げてみます。
ここでは、「名詞+キー(kìi/กี่)+類別詞」という語順に注目していただきたいと思います。
【例1】この部屋に日本人は何人いますか?
この部屋に日本人は何人いますか?
ナイ ホン(グ)ニー ミー コン・イープンキー コン カ
ใน ห้อง นี้ มี คนญี่ปุ่น กี่ คน คะ
nai hɔ̂ŋ níi mii khon yîipùn kìi khon khá
日本人は何人
コン・イープンキー コン
คนญี่ปุ่น กี่ คน
khon yîipùn kìi khon
名詞+キー(kìi/กี่)+類別詞
この文章に出てくる「ミー(mii/มี)」は「持っている」「いる」「ある」という意味の動詞です。
(ここでは「いる」の意味)
また、文頭の「ナイ ホン(グ)ニー(nai hɔ̂ŋ níi/ใน ห้อง นี้)」の「ナイ(nai/ใน)」は「〜の中に」という意味の前置詞です(英語の「in」に相当)。「ナイ ホン(グ)ニー(nai hɔ̂ŋ níi/ในห้องนี้)」全体で「この部屋(の中)に」という意味になります。
【例2】タイ語のテキストを何冊持っていますか?
(あなたは)タイ語のテキストを何冊持っていますか?
クン ミー ナンスーリアン パーサータイ キー レム カ
คุณ มี หนังสือเรียน ภาษาไทย กี่ เล่ม คะ
khun mii nǎŋsɨ̌ɨ-rian phaasǎa thai kìi lêm khá
タイ語のテキストを何冊
ナンスーリアン パーサータイ キー レム
หนังสือเรียน ภาษาไทย กี่ เล่ม
nǎŋsɨ̌ɨ-rian phaasǎa thai kìi lêm
名詞+キー(kìi/กี่)+類別詞
ここでも動詞「ミー(mii/มี)」が出てきました。
この文章では「持っている」という意味で使われています。
文頭の「クン(khun/คุณ)」は「あなた」を意味します。
類別詞と組み合わせて使う疑問詞②ナイ(ไหน)
2つ目の疑問詞は、「どの〜」という意味の疑問詞「ナイ(nǎi/ไหน)」です。
この「ナイ(nǎi/ไหน)」という疑問詞を用いる場合、類別詞が必要になることがありますが、その場合語順が以下のようになります。
名詞+類別詞+ナイ(nǎi/ไหน)
※名詞は、文脈や状況で理解できる場合は省略可
先ほど見た「キー(kìi/กี่)」とは異なり、類別詞の後に疑問詞「ナイ(nǎi/ไหน)」が来るのがポイントです。
疑問文の例を挙げてみます。
ここでも、「名詞+類別詞+ナイ(nǎi/ไหน)」という語順に注目していただきたいと思います。
【例3】どのバッグが好きですか?
(あなたは)どのバッグが好きですか?
クン チョープ グラッパオ バイ ナイ カ
คุณ ชอบ กระเป๋า ใบ ไหน คะ
khun chɔ̂ɔp krapǎo bai nǎi khá
バッグを意味するタイ語「グラッパオ(krapǎo/กระเป๋า)」の類別詞は「バイ(bai/ใบ)」です。
どのバッグ
グラッパオ バイ ナイ
กระเป๋า ใบ ไหน
krapǎo bai nǎi
名詞+類別詞+ナイ(nǎi/ไหน)
類別詞と形容詞との組み合わせと語順
続いては、類別詞と形容詞を組み合わせた言い方です。
第19回講義で、類別詞と指示語(この、その、あの)とを組み合わせた言い方を見てきましたが、語順は以下のとおりでした。
名詞+類別詞+指示語
この指示語の部分を形容詞に変えることで、類別詞と形容詞を組み合わせた言い方が可能です。
名詞+類別詞+形容詞
「車」という語を例に、具体例を挙げていきます。
車の類別詞(「〜台」)は、タイ語では「カン(khan/คัน)」です。
まずは指示語を使った「この車」という言い方を見てみましょう。
この車
ロッ(ト) カン ニー
รถ คัน นี้
rót khan níi
この指示語の部分を、形容詞「新しい」に置き換えて、「新しい車」と言ってみます。
「新しい」はタイ語で「マイ(mài/ใหม่)」です。
新しい車
ロッ(ト) カン マイ
รถ คัน ใหม่
rót khan mài
よく出てくる類別詞と単位をあらわす言葉
第19回講義の中でもお話ししましたが、類別詞は70語ほどあると言われています。
類別詞の中には頻繁に出てくる語と、そうではない語があります。
最低でもこれだけは知っておいて損はない、という語を著者の独断と偏見で選びましたので、ご参考にしていただければと思います。
タイ語の類別語(+単位をあらわす言葉)22選(独断と偏見)
タイ語 類別詞 | 意味 |
---|---|
コン khon คน | 〜人 (人全般に用いる) |
アン ʔan อัน | 〜個 (こまごましたもの) ※物全般に対し汎用的にも使える |
ヤーン(グ) yàaŋ อย่าง | 〜種 (種類、料理に用いる) |
ティー thîi ที่ | ①〜人(=席数) 〜皿/人前(=注文する料理) ②場所、建物などを表す(話し言葉) |
ヘン(グ) hæ̀ŋ แห่ง | 場所、建物などを表す(書き言葉) |
チン chín ชิ้น | 〜切れ、〜片 ケーキや肉などでカットしてある「一切れ」を指す時に使う ※「50枚入りマスク」の「枚」にも、「チン(chín/ชิ้น)」が使われているケースあり |
バイ bai ใบ | 〜個(バッグ) 〜枚/個(チケット、カード、証明書、袋、食器) など |
トゥア tua ตัว | 〜匹/頭(動物) 〜枚(洋服全般(シャツ、パンツ、スカート他)) 〜体(人形) 〜台/脚(机・椅子) など |
ルアン(グ) rɨ̂aŋ เรื่อง | 〜話 〜作 (話、物語、小説、映画、ドラマなど) |
カン khan คัน | 〜台 (車) |
クラン(グ) khráŋ ครั้ง | 〜回 (回数) |
ベー(プ) bæ̀æp แบบ | タイプ、型、様式を表す ※「[名詞]+ベー(プ)ナイ(bæ̀æp nǎi/แบบไหน)」 :「どんなタイプ(種類)の[名詞]」 |
レム lêm เล่ม | 〜冊 (本) |
クー khûu คู่ | 〜組(手袋) 〜膳(箸) 〜足(靴、靴下) ※ペアのものに用いる |
ルーク lûuk ลูก | 〜個 (丸い果物やボールなど) ※「ルーク(lûuk/ลูก)」には「子(息子/娘)[名詞]」の意味もあるが、「子」の類別詞は「ルーク(lûuk/ลูก)」ではなく「コン(khon/คน)」になる |
クルアン(グ) khrɨ̂aŋ เครื่อง | 〜台、〜機 (機械類) |
クゥアッ(ト) khùat ขวด | 〜本 (瓶、瓶入りの飲み物や調味料など) |
トゥアイ thûai ถ้วย | 〜杯(カップに入った飲み物) |
ゲーオ kæ̂æo แก้ว | 〜杯(グラスに入った飲み物) |
サーイ sǎai สาย | 〜線、〜本 (道、鉄道、川、運河、ひも、帯など) |
ホン(グ) hɔ̂ŋ ห้อง | 〜部屋 ※「ホン(グ)(hɔ̂ŋ/ห้อง)」で「部屋(名詞)」という意味も持つ |
ペン phæ̀n แผ่น | 〜枚 (紙や板などの平べったい形状のもの) |
こちらの一覧表はPDFファイルでダウンロードできるようにいたしました。
こちらからダウンロード可能です。
さいごに|タイ語の類別詞
第19回講義と本講義、2回に分けてタイ語の類別詞についてお話ししました。
すぐに全て理解する必要はありませんが、学習を進めていくとどこかのタイミングで必ず出てくるテーマですので、類別詞の話が出てきたら本講義や第19回講義を振り返ってみていただければと思います。
本講義は以上になります。お疲れ様でした。
前回の講義に戻る場合はこちらからどうぞ。
- 冨田竹二郎編『タイ日大辞典』(めこん)
- 宇戸清治編『パスポート初級タイ語辞典』(白水社)
- 三上直光著『タイ語の基礎』(白水社)
- 松山納著『タイ日・日タイ簡約タイ語辞典』(大学書林)
- 宇戸清治著『初級タイ語のすべて』(IBCパブリッシング)
- 赤木攻監修 中島マリン・吉川由佳著『間違いだらけのタイ語』(めこん)
- JittiRain著『2gether vol. 1 (เพราะเราคู่กัน 1) 』(everY)※電子書籍(タイ語)