『独学で勉強しよう!超初心者向けタイ語講座』の第5回です。
第5回講義のポイントは、タイ語の丁寧文の作り方についてです。
タイ語の丁寧文は、
話し手が男性⇒文末にクラップ
話し手が女性⇒文末にカ
をつける
本記事の流れです。
- 第5回のポイント(再掲)
↓ - 例文4種
【例文1】僕はカオマンガイが好きです
【例文2】私はパクチーが好きです
【例文3】私はパクチーが好きではありません
【例文4】この部屋は寒くないです
↓ - タイドラマ『2gether』に出てくるセリフを確認する
↓ - まとめ:
タイ語の丁寧文の作り方
例文を4種類見た後に、タイの人気BLドラマ『プロ・ラオ・クーガン/2gether The Series』に出てくるセリフ(ワンフレーズ)を2シーン、ご紹介します。
そして最後にもう一度、本記事のポイントをおさらいします。
※タイドラマ『2gether』のセリフを先にチェックしたい方は、こちらのリンクから該当部分(本記事後半)をご確認いただけます。
では、はじめます。
タイ語講座第5回のポイント:丁寧文の作り方
タイ語の丁寧文は、
話し手が男性の場合
⇒文末に「クラップ(khráp/ครับ)」
話し手が女性の場合
⇒文末に「カ(khâ/ค่ะ)」
をつける。
では、例文を見ていきます。
本講義では、通常の文と否定文をご紹介します。
疑問文を丁寧文にする場合、男性は「クラップ(khráp/ครับ)」のままですが、女性は「カ」の声調の音が変わります(「カ/khâ/ค่ะ」→「カ/khá/คะ」)。
話し手 | 通常文 | 疑問文 |
---|---|---|
女性 | カ (khâ/ค่ะ) | カ (khá/คะ) |
男性 | クラップ (khráp/ครับ) | クラップ (khráp/ครับ) |
音声ファイルを掲載していますので、ぜひ両方の「カ」の音の違いを聞いてみてください(「クラップはどちらも同じ音声です)。
(再生ボタン【▶︎】を押すと音声が流れます)
例文から見る、タイ語の形容詞の用法
【例文1】僕はカオマンガイが好きです
phǒm chɔ̂ɔp khâao man kài khráp
ผม ชอบ ข้าวมันไก่ ครับ
僕はカオマンガイが好きです
最初の例文は「僕はカオマンガイが好きです」という文章です。
この文章は、第2回講義で出てきた例文「僕はカオマンガイが好きだ」を丁寧文にしたものです。
ポム チョープ カーオマンガイ
phǒm chɔ̂ɔp khâao man kài
ผม ชอบ ข้าวมันไก่
2つの文章を比べてみます。
ポム チョープ カーオマンガイ クラップ
(僕はカオマンガイが好きです)
⇕
ポム チョープ カーオマンガイ
(僕はカオマンガイが好きだ)
「僕はカオマンガイは好きだ」に「クラップ」をつけることで、丁寧文になります。
この文章は主語が「僕」なので分かりやすいですが、話し手は男性なので「クラップ」となります。
【例文2】私はパクチーが好きです
2つ目の例文は「私はパクチーが好きです」という文章です。
chán chɔ̂ɔp phàkchii khâ
ฉัน ชอบ ผักชี ค่ะ
私はパクチーが好きです
この文章は話し手が女性であることを想定しています(*)。
そのため、文末は「カ」となります。
(*)「チャン(chán/ฉัน)」は、女性だけではなく男性一人称としても使える語ですが、ここでは女性一人称「私」という意味で使っています。
(人称代名詞については、後の講義回で詳しくお話しします。)
単語 | 意味 |
---|---|
パッ(ク)チー (phàkchii/ผักชี) | パクチー |
【例文3】私はパクチーが好きではありません
3つ目の例文は、「私はパクチーが好きではありません」という文章です。
chán mây chɔ̂ɔp phàkchii khâ
ฉัน ไม่ ชอบ ผักชี ค่ะ
私はパクチーが好きではありません”
この文章は、例文2「私はパクチーが好きです」の否定形です。
2つの文章と、(丁寧形ではない)通常の文の3種類の文章を比べてみます。
チャン チョープ パッ(ク)チー
(私はパクチーが好きだ)
⇕
チャン チョープ パッ(ク)チー カ
(私はパクチーが好きです)
⇕
チャン マイ チョープ パッ(ク)チー カ
(私はパクチーが好きではありません)
第3回講義で学習したとおり、否定形は「マイ」を形容詞の前に置きます。
否定語「マイ」のある文章の文末に「カ」をつけると、「~ではありません」という否定形の丁寧文となります。
【例文4】この部屋は寒くないです
最後の例文は「この部屋は寒くないです」という文章です。
第3回講義で出てきた否定文「この部屋は寒くない」という文章の丁寧文です。
この文章の場合、文章の話し手によって文末の語が変わります。
ホン(グ)ニー マイ ナーオ カ
hɔ̂ŋ-níi mâi nǎao khâ
ห้องนี้ ไม่ หนาว ค่ะ
ホン(グ)ニー マイ ナーオ クラップ
hɔ̂ŋ-níi mâi nǎao khráp
ห้องนี้ ไม่ หนาว ครับ
ホン(グ)ニー マイ ナーオ
(この部屋は寒くない)
⇕
ホン(グ)ニー マイ ナーオ カ
(この部屋は寒くないです/話し手は女性)
ホン(グ)ニー マイ ナーオ クラップ
(この部屋は寒くないです/話し手は男性)
タイドラマでみる、タイ語の丁寧文
ここからは、今回学習した内容が確認できるタイドラマのセリフをご紹介します。
タイのBLドラマ『プロ ラオ クーガン(2gether The Series)』より、タイ語の丁寧文のセリフを見ていきます。
タイのBLドラマ『2gether』のセリフ①
チャッ(ト)先輩が後輩(高校生)から「終わった」と声をかけられるシーン。
似たセリフが2回続くので、それぞれご紹介します。
どちらも「P’Chat(ピー・チャッ(ト)」と声をかけた後の一言です。
女子高生:เสร็จแล้วค่ะ
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.7 3/4 0:53~0:57
(セッ(ト)レーオ カ)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
Phukong:ผมก็เสร็จแล้วครับ
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.7 3/4 1:05~1:08
(ポム コー セッ(ト)レーオ クラップ)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
どちらのセリフも、後輩(高校生)が先輩(P’Chat)に話しかけているので、文末に「カ」または「クラップ」がついています。
最初の女子高生のセリフは文末に「カ」が、Phukong(男子高校生)のセリフは文末に「クラップ」が来ています。
ここで使われている動詞は「セッ(ト)」で、「終わる」という意味の語です。
「セッ(ト)」の後ろに来ているのが「レーオ」で、「もう」という意味を持ちます。
「動詞(+目的語)+レーオ」で「もう〜した」という完了の意味を表します。
※タイ語の完了形については、第15回講義で詳しくお話しする予定です
「セット・レーオ」で「もう終わる」という意味になり、その後ろに「カ」や「クラップ」が来ることで「終わりました」という丁寧な文章になります。
sèt lǽæo khâ
終わりました。
phǒm kɔ̂ɔ sèt lǽæo khráp
僕も終わりました。
Phukongのセリフは、女子高生のセリフに「僕も」という表現が加わったものです。
「ポム」は「僕」を、「ポム」に続く「コー」は「〜も」を意味しています(英語のalsoに相当)。
単語 | 意味 |
---|---|
セッ(ト) (sèt/เสร็จ) | 終わる、終える(動詞) |
レーオ (lǽæo/แล้ว) | もう〜(完了を表す) ※詳しくは第15回講義で |
コー (kɔ̂ɔ/ก็) | 〜も ※主語+「コー」+動詞(形容詞) (英語のalsoに相当) |
タイのBLドラマ『2gether』のセリフ②
続いてのシーンは、Tineと大学の先生とのやり取りです。
プレゼンの準備中にTineのPC画面が図らずもプロジェクターに映し出され、Tineが思わず大声を出してしまい、先生に謝るシーンです。
อาจารย์ ขอโทษครับ ที่เสียงดัง
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.2 1/4 2:35~2:38
(アーチャーン コートー(ト)クラップ ティー シアン ダン)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
ʔaacaan khɔ̌ɔthôot khráp thîi sǐaŋ daŋ
先生、すみません。大声を出してしまって。
「コートー(ト)」は謝る際の表現で、「ごめんなさい」「すみません」という意味で用います。
単語 | 意味 |
---|---|
アーチャーン (ʔaacaan) (อาจารย์) | 先生 ※大学の先生など、なんらかの分野での専門性を持つ教師に用いる |
コートー(ト) (khɔ̌ɔthôot) (ขอโทษ) | 謝る、すみません |
【参考】 コートー(ト) の各単語の意味 | コー(khɔ̌ɔ/ขอ):乞う、求める トー(ト)(thôot/โทษ):罪、罰 |
ティー (thîi/ที่) | 関係詞(すぐ前の語にかかる) ※英語の「that」に近い役割 |
シアン(グ)ダン(グ) (sǐaŋ daŋ) (เสียงดัง) | 大きな音 |
【参考】 シアン(グ)ダン(グ) の各単語の意味 | シアン(グ)(sǐaŋ/เสียง):声、音 ダン(グ)(daŋ/ดัง):大きい、うるさい |
おさらい|タイ語講座第5回のポイント
タイ語講座第5回の本記事では、タイ語の丁寧文の作り方についてお話ししました。
タイ語の丁寧文は、
話し手が男性の場合
⇒文末に「クラップ(khráp/ครับ)」
話し手が女性の場合
⇒文末に「カ(khâ/ค่ะ)」
をつける。
第5回はここまでです。お疲れ様でした。
第6回講座はこちらから、第4回に戻る場合はこちらからどうぞ。
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