タイ語を勉強する上で、ネックになるものの一つが 発音 です。
日本語にない音が多く、タイ語の発音に苦労されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、タイ語の「子音」のうち、発音が難しいとされる「有気音」と「無気音」について見ていきます。
タイ語の「有気音」と「無気音」の実際の音については、『「有気音」と「無気音」の実際の音を比べてみよう』内に音声データを多数載せておりますので、どうぞあわせてご活用ください。
タイ語の子音の発音|有気音と無気音
有気音と無気音とは?
タイ語の子音のうち、区別して発音するのが難しいとされているのが、有気音 と 無気音 です。
まずは、「有気音」と「無気音」とは何か?について見ていきます。
- 有気音=ph, th, ch, kh
:息を出して発音する - 無気音=p, t, c, k
:息を出さないように(息が漏れないように)発音する
ポイントは、有気音の息の出し方です。
たくさんの息をいっぺんにまとめて出す
この「たくさんの息を一度にまとめて出す」というのがなかなか難しいのですが、英語の子音「h」の音(=息)の出し方が参考になります。
詳細は後述しますが、以下の記事内でおすすめの書籍や活用法をご紹介しています。
【タイ語の発音を良くしたい!】発音矯正に使えるおすすめの英語教材と具体的な活用方法
なお、「ph-, th-, ch-, kh-」も「p-, t-, c-, k-」も、「有気音」か「無気音」か、という違いはありますがどちらも 無声音 です。
そのため、「声帯を震わせずに(濁らせずに)」音を出します。
有気音・無気音と、有声音・無声音との違い
先ほど、「無声音」という言葉が出てきました。
有気音・無気音と、有声音・無声音 の違いを、ここで改めて整理します。
- 有気音
→強く息を伴って発音 - 無気音
→息が漏れないように発音
- 有声音
→声帯を震わせながら発音(濁音) - 無声音
→声帯を震わせずに発音(濁らない)
タイ語には、破裂音の種類として、
- 無声有気破裂音(ph, th, ch, kh)
- 無声無気破裂音(p, t, c, k)
- 有声破裂音(b、d)
この3種類があります。
タイ語の子音|「有気音」と「無気音」の発音の仕方とポイント
口では何とでも言えますが、実際に自分で発音してみようとすると難しいものです。
日本語にない音ですから、当然です。
私自身、タイ語を学習していた頃、この 有気音 と 無気音 は、先生から
有気音の場合は紙(やティッシュ)が動くように発音。
無気音の場合は動かないからね。
と習いました。
今は、このように理解しています。
子音と(後に続く)母音との間に息が入る
例① ทา(thaa/ター)
子音(t)+息(h)+母音(aa)
例② ข้าว(khâaw/カーオ)
子音(k)+息(h)+母音(+声調)(âa)+末子音(w(o))
子音の次にすぐ母音が来る(間に息を入れない)
例① ตา(taa/ター)
子音(t)+母音(aa)
例② ก้าว(kâaw/ガーオ)
子音(k)+母音(+声調)(âa)+末子音(w(o))
※他の音の例を、別記事『「有気音」と「無気音」の実際の音を比べてみよう』の中に掲載しています。どうぞあわせてご活用ください。
この「h」の息の出し方のポイントは、先に述べた通り「たくさんの息を一度に出すこと」です。
「寒くて手を温めたい時に出す息」のようなイメージです。
また、この「h」は、日本語の「ハ・ヒ・フ・へ・ホ」とは異なる音です。
どう違うのか?というと、日本語の「ハ・ヒ・フ・へ・ホ」は有声音(声帯が震える)ですが、「h」は息が流れるだけです。
この辺りの話は、英語の子音「h」の発音の仕方が大変参考になります。
詳しくは後述します。
タイ語の有気音・無気音の具体的な発音方法
タイ語の有気音・無気音の具体的な発音の仕方・コツについて、書籍を一部引用する形で紹介させていただきます。
k (カ行) | 「kɔɔ」は口を結んで息がもれないように注意しつつ、「ッコー」のように発音 |
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c (チャ行) | 「caa」はシューッという摩擦音がもれないように、舌の上面を硬口蓋(上顎の硬い部分、後述する図をご参照)にあてて、「ッチャー」と発音 |
t (タ行) | 「tee」は、息をもらさず「ッテー」のように発音 |
p (パ行) | まず両唇をかたく閉じ、息を伴わないように突然、「paa(ッパー)」、「pii(ッピー)」のように破裂させて発音 |
kh (カ行) | 「khaa」は、フッというような息を伴って、「カハー」のようになる |
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ch (チャ行) | 「chaa」は「チハー」または「チシャー」のように鋭い摩擦音を伴う |
th (タ行) | 「thaa」は「タハー」と気合をかける時のように鋭く発音 |
ph (パ行) | 「kh,ch,th」の時と同じように強い息を伴って、「phaa(パハー)」、「phii(ピヒー)」のように発音 |
参考:宇戸清治、マリー・ベンヤグソン著『現代タイ語会話』p ix〜xの一部を引用の上、表にまとめたもの
コツは、パ行でいえば、無気音paaは「(ッ)パー」と言いかけて(ッ)は飲み込む感じ、有気音phaaの場合は「パ(ハ)ー」という感じに発音します。
宇戸清治著『初級タイ語のすべて』p12より引用
日本人にとって難しいのは、k-、t-、p-、c-の発音で、絶対に気息を伴わないように発音しなければならない。
冨田竹二郎編『タイ日大辞典』p11より引用
上記の表・引用を整理すると、
→子音の前に小さい「ッ」が入る(感じで発音する)
→子音の後ろに「ハ行」の音が入る(ように発音する)
と言えそうです。
こちらは横顔の断面図です。
丸で囲んだ場所が、硬口蓋です。
上の歯の歯茎のさらに上の部分です。
タイ語の「c」の音を出す時に意識する器官です。
発音のコツはいろいろありますが、どのやり方が最適かは人それぞれかと思いますので、色々なやり方を試してみてください。
「【レビュー】独学でタイ語を勉強する方におすすめの学習本3冊(初心者~中級)」の中で紹介している書籍『タイ語の基礎』『初級タイ語のすべて』には、子音や母音を聞き分ける練習ができる音声CDがついており、タイ語の音の違いを聞き分ける練習をしたい方におすすめです。
また、当サイト内にも、有気音と無気音を聞き比べできる音声データを用意しました(→こちら)。
どうぞあわせてご活用ください。
タイ語の発音矯正に英語の発音の教材を活用する
タイ語の発音に関する専門書ではないのですが、英語の発音矯正についての本が多数出ています。
若干タイ語と異なる音(thなど)もありますが、子音・母音の発音の仕方は英語と共通する部分も多いので、参考になる部分が多いです。
先に挙げた「h」の音も、英語の子音「h」の発音の仕方が参考になります。
おすすめの書籍を3冊挙げます。
各書籍内の、タイ語学習者に役立つ具体的なページとその内容については、別記事『【タイ語の発音を良くしたい!】発音矯正に使えるおすすめの英語教材と具体的な活用方法』の中で詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。
さいごに|タイ語の「有気音」と「無気音」の発音の仕方とポイント
タイ語の子音、特に 有気音 と 無気音 の音の違いと発音のポイントについて見てきました。
有気音・無気音の発音を区別することは、タイ語を話したり聞いたりする上で大切なポイントです。
一方で、タイ語の音を構成する要素としては、子音以外にも母音や声調など、重要なポイントがあります。
この有気音・無気音の発音は難しく、すぐにできるようになる方もいれば、なかなかできない方もいらっしゃるかもしれません。
どうしても上手くいかない場合は、あまり固執せずに、母音や声調など他のポイントをしっかり発音できるようにするのも一つの手です。
母音や声調、末子音のほうが、口の動かし方や舌の位置など自分の意思である程度コントロールできるので、矯正しやすいからです。
少しずつ意識をして発音を良くしていきましょう。