『独学で勉強しよう!超初心者向けタイ語講座』の第15回です。
第15回講義のポイントは、タイ語の義務と不要を表す表現です。
具体的には「〜しなければならない【義務】」と「〜しなくてよい【不要】」という言い方を見ていきます。
動詞の前に「トン(グ)/ต้อง」を置く
動詞の前に「マイ・トン(グ)/ไม่ ต้อง」を置く
本記事の中で詳しく解説していきます。
本記事の流れです。
- 第15回講義のポイント
↓ - 例文2種
【例文1】今日、私は病院へ行かなければならない
【例文2】「急がなくていいですよ」
↓ - タイドラマに出てくるセリフを確認する
↓ - まとめ:
タイ語での義務(不要)表現の作り方
例文を2種類見た後に、タイの人気BLドラマ『プロ・ラオ・クーガン/2gether The Series』に出てくるセリフ(ワンフレーズ)を3シーン、ご紹介します。
そして最後にもう一度、本記事のポイントをおさらいします。
※タイドラマのセリフを先にチェックしたい方は、こちらのリンクから該当部分(本記事後半)をご確認いただけます。
では、はじめます。
独学で自分のペースで学んでいける、超初心者(〜初級)向けタイ語講座【全30回+α】
タイ語講座第15回のポイント:タイ語の義務・不要の表現
本講義のテーマは「タイ語の義務と不要を表す言い方」です。
タイ語の「義務」「不要」を表す言い方のポイント
タイ語の「義務」・「不要」表現でおさえたいポイントは、以下の2点です。
【義務】
動詞(形容詞)
「トン(グ)/tɔ̂ŋ/ต้อง」+【不要】
動詞(形容詞)
「マイ・トン(グ)/mâi tɔ̂ŋ/ไม่ ต้อง」+例文をそれぞれ見ていきます。
例文から見る、タイ語の義務(不要)表現の作り方
【例文1】今日、私は病院へ行かなければならない
最初にご紹介する例文は、「今日、私は病院へ行かなければならない」という文章です。
wanníi chán tɔ̂ŋ pai rooŋ-phayaabaan
วันนี้ ฉัน ต้อง ไป โรงพยาบาล
今日、私は病院へ行かなければならない
主語
(チャン/私)
+
トン(グ)
「〜しなければならない」
【義務】
+
動詞
(パイ/行く)
+
目的語(場所)
(ローン(グ)パヤーバーン/病院)
「〜しなければならない」という意味を持つ「トン(グ)/tɔ̂ŋ/ต้อง」の位置は、「主語」と「動詞(形容詞)」の間です。
単語 | 意味 |
---|---|
ワンニー (wanníi) (วันนี้) | 今日 |
パイ (pai/ไป) | 行く (動詞) |
ローン(グ)・ パヤーバーン (rooŋ- phayaabaan) (โรงพยาบาล) | 病院 |
【例文2】急がなくていいです(よ)
続いての例文は、「急がなくていいですよ(急がなくて大丈夫ですよ)」と相手に言う際の文章です。
mâi tɔ̂ŋ rîip ná khá
ไม่ต้องรีบนะคะ
急がなくていいですよ
※話し手が女性
mâi tɔ̂ŋ rîip ná khráp
ไม่ต้องรีบนะครับ
急がなくていいですよ
※話し手が男性
これは、会話の中でのやり取りを想定しているので、相手が誰かが明らかなため主語は省略しています。
そのため、文章が「マイ・トン(グ)/ไม่ ต้อง」で始まります。
単語 | 意味 |
---|---|
リー(プ) (rîip/รีบ) | 急ぐ(動詞) 急いで(修飾語) |
ナ (ná/นะ) | 相手に同意を求めるや強調したい時などに使われる、親密で柔らかい表現 日本語の「~ね、~よ」に相当 |
丁寧文に柔らかさを出す「ナ」について
例文2では、文末に
- ナ・カ
(ná khá/นะคะ) - ナ・クラップ
(ná khráp/นะครับ)
がつく表現でした。
「カ」や「クラップ」は文章を丁寧にする際に文末につける語、ということを第5回講義で学習しました。
その前に「ナ/นะ」がつくことによって、丁寧さの中に柔らかさが出る表現となります。
(日本語の「〜ですよ」「〜ですね」に相当)
(ná khá/นะคะ)
【話し手が女性】
(ná khráp/นะครับ)
【話し手が男性】
補足:話し手が女性の場合の「ナ・カ(ná khá)」について
ここで一つ注意したいのが、話し手が女性の場合の「ナ・カ」です。
「ナ」の後ろにつく「カ」の発音(声調)は、「khâ」ではなく「khá」となります。
これは、疑問文につける「カ(khá)」と同じ音(声調)になります。
(※疑問文につける「カ」については、第10回講義をご確認ください)
(ná khá/นะคะ)
(ná khâ/นะค่ะ)
【話し手が女性】
通常文 | 疑問文 + 「ナ」の後ろ |
---|---|
カ (khâ/ค่ะ) | カ (khá/คะ) |
音声ファイルを掲載していますので、ぜひ両方の「カ」の音の違いを聞いてみてください。
(再生ボタン【▶︎】を押すと音声が流れます)
例文2-1や例文2-2よりも、もう少しかしこまった表現だと「ナ」は使わずに以下のような言い方も可能です。
mâi tɔ̂ŋ rîip ləəi khâ
ไม่ต้องรีบเลยค่ะ
全然急がなくていいです
(ごゆっくりどうぞ)
※話し手が女性
mâi tɔ̂ŋ rîip ləəi khráp
ไม่ต้องรีบเลยครับ
全然急がなくていいです
(ごゆっくりどうぞ)
※話し手が男性
第4回講義で出てきた、「全然〜ない」を意味する「マイ〜ルーイ(mâi…ləəi)」の応用編です。
「マイ トン(グ)〜ルーイ(mâi tɔ̂ŋ…ləəi)」で、「全然〜しなくていい、全然〜する必要がない」という意味になります。
(mâi tɔ̂ŋ…ləəi/ไม่ต้อง…เลย)
全然〜する必要がない
動画でみる、タイ語の義務(と不要)表現
ここからは、ドラマに出てくるセリフをご紹介していきます。
タイのBLドラマ『プロ・ラオ・クーガン/2gether The Series』のシーンを見ていきます。
全部で3シーンあります。
タイのBLドラマ『2gether』のセリフ①「トン(グ)」
Sarawatの部屋にSarawatのお母さんと弟(Phukong)が来て、Tineと4人で話すシーンでのお母さんの一言。
แม่ต้องรีบไปล่ะ พ่อรออยู่
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.4 2/4 1:37~1:39
(メー トン(グ)リープ パイ ラ ポー ロー ユー)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
お母さんが話した二つの文章のうち、ここでは前半部分のみを見ていきます。
後半部分は第16回講義内でご紹介しています。
mæ̂æ tɔ̂ŋ rîip pai lâ
今回学習した「〜しなければならない」という意味の「トン(グ)/tɔ̂ŋ」とその後ろに続く動詞を抜き出してみます。
tɔ̂ŋ rîip pai
トン(グ)
「〜しなければならない」
【義務】
+
動詞①
(リープ/急ぐ)
+
動詞②
(パイ/行く)
tɔ̂ŋ rîip pai
急いで行かなければならない
文章全体に戻ります。
冒頭の「メー」は「母親」の意(これはお母さんのセリフなので、自分を指している)、文末の「ラ」は強調する語です。
mæ̂æ tɔ̂ŋ rîip pai lâ
お母さんは急いで行かなくちゃ
お母さんのセリフの後半部分は、こちらからご確認いただけます。
単語 | 意味 |
---|---|
メー (mæ̂æ) (แม่) | 母親 |
リープ (rîip/รีบ) | 急ぐ(動詞) 急いで(修飾語) |
パイ (pai/ไป) | 行く (動詞) |
ラ (lâ/ล่ะ) | 文末に置く強調詞 |
タイのBLドラマ『2gether』のセリフ②「マイ・トン(グ)」
Tineが皆の前で自己紹介をするシーン。
自己紹介の前にお手洗いに行こうとしたTineに先輩が「恥ずかしがらないで」と伝えるセリフ。
ไม่ต้องอาย
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.1 4/4 2:03~2:04
(マイ・トン(グ)アーイ)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
「〜しなくていい」を意味する「マイ・トン(グ)」の後ろに、「恥じる、恥ずかしがる」という意味の動詞「アーイ」が来て、「恥ずかしがらなくていい」という意味になります。
(mâi tɔ̂ŋ ʔaai)
恥ずかしがらないで
単語 | 意味 |
---|---|
アーイ (ʔaai) (อาย) | 恥じる 恥ずかしがる (動詞) |
タイのBLドラマ『2gether』のセリフ③「マイ・トン(グ)」
TineがSarawatに、もう恋人のフリをしなくていいと伝えるシーン。
Tineのセリフに「しなくてよい」という意味の「マイ・トン(グ)」が複数回登場します。
2つのセリフに分かれているのですが、今回は後半部分を見ていきます。
ไม่ต้องโทรหา ไม้ต้องเจอหน้า แล้วก็ไม่ต้องคุยกับกู
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.7 3/4 3:41~3:49
(マイ トン(グ)トー ハー マイ トン(グ)チュー ナー レオコー マイ トン(グ)クイ ガッ(プ)グー)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
このセリフは3つの文章に分かれますので、1文ずつ見ていきます。
mâi tɔ̂ŋ thoo hǎa
「トー ハー」で「電話をかける」なので、「マイ トン(グ)トー ハー」で「電話をかけなくていい」という意味になります。
mâi tɔ̂ŋ cəə nâa
「チュー ナー」で「会う(顔を合わせる)」なので、「マイ トン(グ)チュー ナー」で「顔を合わせなくていい」という意味になります。
lǽæo kɔ̂ɔ mâi tɔ̂ŋ khui kàp kuu
「クイ」は「話す」という意味の動詞、それに続く「ガッ(プ)グー」は「俺と」という意味です。
文頭の「レオコー」は、「それから」という接続詞です。
これを繋げると、このセリフ全体で「それから俺と話さなくていい」となります。
この3つの文章すべて主語が省略されています。省略せずに言うならば「お前(ここではSarawatのこと)」が主語になります。
Tineのセリフ全体をまとめます。
マイ トン(グ)トー ハー
マイ トン(グ)チュー ナー
レオコー マイ トン(グ)クイ ガッ(プ)グー
mâi tɔ̂ŋ thoo hǎa
mâi tɔ̂ŋ cəə nâa
lǽæo kɔ̂ɔ mâi tɔ̂ŋ khui kàp kuu
(お前は俺と)顔を合わせなくていい
それから(お前は)俺と話さなくていい
単語 | 意味 |
---|---|
トー (thoo) (โทร) | 電話する ※トーラサップ(โทรศัพท์/thoorasàp) の略語 |
トー・ハー (thoo-hǎa) (โทรหา) | 電話をかける |
チュー (cəə/เจอ) | 会う (動詞) |
ナー (nâa/หน้า) | (ここでは)顔 |
レオ・コー (lǽæo kɔ̂ɔ) (แล้วก็) | それから |
クイ (khui) (คุย) | 話す (動詞) |
ガッ(プ) (kàp) (กับ) | 〜と (英語のwithに相当) |
グー (kuu/กู) | 俺 ※丁寧な表現ではない |
おさらい|タイ語講座第15回のポイント
タイ語講座第15回の本記事では、タイ語の義務(不要)表現について説明しました。
【義務】
動詞(形容詞)
「トン(グ)/tɔ̂ŋ/ต้อง」+【不要】
動詞(形容詞)
「マイ・トン(グ)/mâi tɔ̂ŋ/ไม่ ต้อง」+第15回はここまでです。お疲れ様でした。
第14回に戻る場合はこちらから、第16回へ進む場合はこちらからどうぞ。
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- 宇戸清治編『パスポート初級タイ語辞典』(白水社)
- 三上直光著『タイ語の基礎』(白水社)
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