『独学で勉強しよう!超初心者向けタイ語講座』の第16回です。
第16回講義のポイントは、タイ語で「〜している(〜の状態にある)」と言いたい時の表現です。
具体的には「ユー(yùu/อยู่)」という単語を使った表現をご紹介します。
動作を表す動詞(*)の後ろに「ユー(yùu/อยู่)」を置く
(*)状態を表す動詞や形容詞が使えるケースもあります(後述します)
本記事の中で詳しく解説していきます。
本記事の流れです。
- 第16回のポイント
↓ - 例文4種
【例文1】今、私はドラマを観ている
【例文2】学生は教室で試験中だ
【例文3】私はレストランで友人を待っている
【例文4】今日はよく働いたので、まだ疲れている
↓ - タイドラマに出てくるセリフを確認する
↓ - まとめ:
タイ語での「〜している(〜の状態にある)」の表現
例文を4種類見た後に、タイの人気BLドラマ『プロ・ラオ・クーガン/2gether The Series』に出てくるセリフ(ワンフレーズ)をご紹介します。
そして最後にもう一度、本記事のポイントをおさらいします。
※タイドラマのセリフを先にチェックしたい方は、こちらのリンクから該当部分(本記事後半)をご確認いただけます。
では、はじめます。
独学で自分のペースで学んでいける、超初心者(〜初級)向けタイ語講座【全30回+α】
タイ語講座第16回のポイント:タイ語で「~している(〜の状態にある)」と言いたい時の表現
第16回講座のポイント
本講義のテーマは「~している(〜の状態にある)」と言いたい時の表現です。
動作を表す動詞(*)(+目的語)+ユー(yùu/อยู่)
動作の持続や、ある時点での状態を表す
(*)「動作を表す動詞」の他にも、「ある時点での状態であること」を示す言葉を添えることで、「状態を表す動詞」や「形容詞」でも使えることがあります。
動詞(形容詞も場合によっては可能)の後ろに「ユー(yùu/อยู่)」がつくことで、その動詞の動作が続いていること、または動詞(形容詞)の状態が「あるどこかの時点で」その状態にあることを表す表現です。
ポイントは語順です。
この意味で用いる「ユー(yùu/อยู่)」は、動詞の後ろに来ます。
目的語がある場合は、動詞と「ユー(yùu/อยู่)」の間に置きます。
また、場所を表す「〜で」という表現は、「ユー(yùu/อยู่)」の後ろに置きます。
「まだ〜である、まだ〜している」の言い方
この「ユー(yùu/อยู่)」の表現は、「まだ」を意味する「ヤン(グ)(yaŋ/ยัง)」を動詞の前につけて、「まだ〜である、まだ〜している」という意味で用いることができます。
動詞(形容詞)(*)(+目的語)+ユー(yùu/อยู่)
ヤン(グ)(yaŋ/ยัง)+(*)この場合は、「いずれその状態が終わることが予想される」意味合いを含むため、「動作を表す動詞」のみならず、「状態を表す動詞」や「形容詞」も使うことができます。
(参照:『タイ語の基礎』p186)
単語「ユー(อยู่)」についての補足
「ユー(yùu/อยู่)」という単語には、いくつかの意味があります。
その一つが、動詞「〜にいる(ある)」です。
過去の講義回でも、第10回講義、第13回講義でご紹介したドラマのセリフに登場しました。
ユー(yùu/อยู่)の意味 |
---|
いる、ある |
住む、暮らす |
〜している、の状態にある |
ここでは、③の「〜している(〜の状態にある)」という意味を見ていきます。
これらのポイントについて、例文を見ながら確認していきましょう。
タイ語で「〜している(進行形)」を表す表現として、今回ご紹介する「ユー(yùu/อยู่)」の他に
ガムラン(グ)(kamlaŋ/กำลัง)+動詞(+目的語)
ガムラン(グ)(kamlaŋ/กำลัง)+動詞(+目的語)+ユー(yùu/อยู่)
があります。
この3つの表現は、入れ替えて使用することが可能なケースが多いです。
説明をわかりやすくするため、今回は「ユー(yùu/อยู่)」を使った表現に絞ってご紹介していきます。
例文から見る、タイ語で「〜している(〜の状態にある)」という表現
【例文1】今、私はドラマを観ている
最初にご紹介する例文は、「今、私はドラマを観ている」という文章です。
トーンニー チャン ドゥー ラコーン ユー
tɔɔn-níi chán duu lakhɔɔn yùu
ตอนนี้ ฉัน ดู ละคร อยู่
語順がポイントなので、主要部分を抜き出してみます。
主語
(チャン/私)
+
動詞
(ドゥー)
(見(観)る)
+
目的語
(ラコーン)
(ドラマ)
+
ユー
「〜している」
【状態】
「見る」という動詞「ドゥー」の後ろに目的語、その後ろに「〜している」という状態を表す「ユー」が来ています。
文頭の「トーンニー」は「今」という意味の語です。
単語 | 意味 |
---|---|
トーンニー (tɔɔn-níi) (ตอนนี้) | 今 |
ドゥー (duu) (ดู) | 見る (動詞) |
ラコーン (lakhɔɔn) (ละคร) | ドラマ |
【例文2】学生は教室で試験中だ
続いての例文です。
(今、学生は教室で試験を受けている)
トーンニー ナッ(ク)・リアン ソー(プ) ユー ティー ホン(グ)・リアン
tɔɔn-níi nák-rian sɔ̀ɔp yùu thîi hɔ̂ŋ-rian
ตอนนี้ นักเรียน สอบ อยู่ ที่ ห้องเรียน
「教室で」を意味する「ティー ホン(グ)・リアン」という場所を表す語が出てきました。
この「場所を表す語」は、「ユー(yùu/อยู่)」の後ろに来ます。
単語 | 意味 |
---|---|
ナッ(ク)・リアン (nák-rian) (นักเรียน) | 学生 |
ソー(プ) (sɔ̀ɔp) (สอบ) | 試験を受ける (動詞) ※名詞「試験」の意味もある |
ティー (thîi) (ที่) | (ここでは)場所を表す前置詞 (英語のatに相当) |
ホン(グ)・リアン (hɔ̂ŋ-rian) (ห้องเรียน) | 教室 |
【例文3】私はレストランで友人を待っている
3つ目の例文です。
チャン ロー プーアン ユー ティー ラーン・アーハーン
chán rɔɔ phɨ̂an yùu thîi ráan ʔaahǎan
ฉัน รอ เพื่อน อยู่ ที่ ร้านอาหาร
「ロー」は「待つ」という意味の動詞、その後ろの「プーアン」は「友人」を意味する語です。
「ロー プーアン」に「ユー」がつくことで、「友人を待っている(状態にある)」という意味になります。
その後ろに場所を表す前置詞「ティー」と、「レストラン」を意味する「ラーン・アーハーン」が来て、「ティー ラーン・アーハーン」で「レストランで」となります。
単語 | 意味 |
---|---|
ロー (rɔɔ) (รอ) | 待つ (動詞) |
プーアン (phɨ̂an) (เพื่อน) | 友人 |
ティー (thîi) (ที่) | (ここでは)場所を表す前置詞 (英語のatに相当) |
ラーン・アーハーン (ráan-ʔaahǎan) (ร้านอาหาร) | レストラン |
【例文4】今日はよく働いたので、まだ疲れている
最後の例文です。
「まだ」を意味する「ヤン(グ)(yaŋ/ยัง)」を添えた、「ヤン(グ)(ยัง)… ユー(อยู่)」の表現です。
ワンニー タム・(ン)ガーン ナッ(ク) ルーイ ヤン(グ) ヌーアイ ユー
wanníi tham-ŋaan nàk ləəi yaŋ n ̀ɨai(nɯ̀ai)yùu
วันนี้ ทำงาน หนัก เลย ยัง เหนื่อย อยู่
「ヤン(グ)(yaŋ/ยัง)〜ユー(yùu/อยู่)」で、「まだ〜である」「まだ〜している」の意味になります。
ここでは、「疲れる」という意味の動詞「ヌーアイ/เหนื่อย」を間に入れ、「ヤン(グ) ヌーアイ ユー(yaŋ n ̀ɨai(nɯ̀ai)yùu/ยัง เหนื่อย อยู่)」で「まだ疲れている」という意味になります。
文頭の「ワンニー」は「今日」を意味する語で、それに続く「タム・(ン)ガーン/ทำงาน」は「働く」という意味の動詞です。
動詞の後ろに続く「ナッ(ク)/หนัก」には「重たい(重く)、激しく」といった意味があり、「「タム・(ン)ガーン ナッ(ク)/ทำงาน หนัก」で、「激しく働く(≒よく働く)」という意味になります。
この文章は「今日はよく働いた」と「まだ疲れている」、この2つの文章で構成されています。
2つの文章を繋ぐ接続詞が、文章の中ほどにある「ルーイ/เลย」です。
「ルーイ/เลย」は接続詞として用いられる場合、「〜ので…」という意味を持ちます。
(※第4回講義で出てきた「全然〜(ない)」という意味のルーイと同じ語ですが、用法が異なります。)
単語 | 意味 |
---|---|
ワンニー (wanníi) (วันนี้) | 今日 |
タム・(ン)ガーン (tham-ŋaan) (ทำงาน) | 働く (動詞) |
ナッ(ク) (nàk) (หนัก) | 形容詞/副詞 重い・重く きつく、激しく |
ルーイ (ləəi) (เลย) | 〜ので(接続詞) =ก็เลย(kɔ̂ɔ ləəi/コ・ルーイ) |
ヌーアイ (n ̀ɨai(nɯ̀ai)) (เหนื่อย) | 疲れる (動詞) |
動画でみる、タイ語の「〜している」の表現
ここからは、ドラマに出てくるセリフをご紹介していきます。
タイのBLドラマ『プロ・ラオ・クーガン/2gether The Series』のシーンを見ていきます。
全部で3シーンあります。
タイのBLドラマ『2gether』のセリフ①「録画中」
Sarawatの部屋にギターを借りに(取りに)来たTine。
その流れでギター演奏の録音を始めたTine。
その横でギターのチューニングを始めてしまったSarawatに対してTineが言ったセリフ。
กูอัดคลิปอยู่
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.3 2/4 6:00~6:01
(グー アッ(ト) クリッ(プ) ユー)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
kuu ʔàt khlíp yùu
動詞「アッ(ト)」は「録る」という意味の動詞、その後ろに続く「クリッ(プ)」は「動画」を意味します。
そしてその後ろに「ユー」が来ていることで、「動画を録る」ことをしている状態にある、という意味になります。
セリフ全体を訳してみます。
kuu ʔàt khlíp yùu
録画中だ
(俺は動画を撮っているところだ)
単語 | 意味 |
---|---|
グー (kuu) (กู) | 俺 ※丁寧な表現ではない |
アッ(ト) (ʔàt/อัด) | (ここでは) 記録する、書き込む →録る ※アッ(ト)シアン(グ) (ʔàt sǐaŋ/อัดเสียง) :録音する ※アッ(ト)クリッ(プ) (ʔàt khlíp/อัดคลิป) :録画する |
クリッ(プ) (khlíp) (คลิป) | ここでは 「動画」の意 (คลิปวิดีโอ(khlíp widiiʔoo/クリッ(プ)ウィーディーオー)と言うことも) ※アッ(ト)クリッ(プ) (ʔàt khlíp/อัดคลิป) :録画する =アッ(ト)クリッ(プ)ウィーディーオー (ʔàt khlíp-widiiʔoo/อัดคลิปวิดีโอ) |
タイのBLドラマ『2gether』のセリフ②「指が痛む」
ギターの練習をしているTineにSarawatが自分のギターを貸してあげるシーンで、SarawatがTineにかけた一言(とTineの返事)。
Sarawat:
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.2 3/4 2:38-2:41
เจ็บนิ้วอยู่ปะ
(チェッ(プ) ニウ ユー パ)
Tine:
ไม่นะ
(マイ ナ)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
cèp níu yùu pà
「チェッ(プ)」は「痛む」という意味の動詞で、後ろに痛む箇所の名詞が続きます。
今回は「指」を意味する「ニウ」が来ており、「チェッ(プ) ニウ」で「指が痛む」となり、この後ろに「ユー」が来ることで「チェッ(プ) ニウ ユー」で「指が痛む(状態である)」という意味になります。
文末の「パ」は疑問文を作る語です。
厳密には「ルー・プラーオ(rɨ̌ɨ plàao/หรือเปล่า)」なのですが、話し言葉ではそれが短縮されることが多く、いくつかある短縮形の中の一つです。
(こちらは、別の講義回で詳しくお話しします)
Sarawatのセリフをまとめてみます。
cèp níu yùu pà
(まだ指が痛む状態なのか?)
それに対するTineの返事です。
mâi ná
大丈夫(だよ)
(いや、(痛くないよ))
「マイ」はこれまでにも何度か登場している否定の「マイ(mâi/ไม่)」です。
その後ろに「ナ」が来ることで、「いや、(痛くない)」という返事を柔らかく伝える表現になっています。
単語 | 意味 |
---|---|
チェッ(プ) (cèp) (เจ็บ) | 痛む(動詞) 痛む箇所の名詞が後ろに来る 主に「外傷」に用いる ※この語には「痛い(形容詞)」の意味もある |
ニウ (níu/นิ้ว) | 指 |
パ (pà) (ปะ) | 疑問文を作る語 (ルー・プラーオ(rɨ̌ɨ plàao/หรือเปล่า)の短縮形の一つ) ※別の講義回でお話しします |
ナ (ná) (นะ) | 相手に同意を求めるや強調したい時などに使われる、親密で柔らかい表現 日本語の「~ね、~よ」に相当 |
タイのBLドラマ『2gether』のセリフ③「待っている」
Sarawatの部屋にSarawatのお母さんと弟(Phukong)が来て、Tineと4人で話すシーンでのお母さんの一言。
第15回講義の中でご紹介したセリフに、この使い方をする「ユー(yùu/อยู่)」が出てきていました。
今回はそちらを見ていきます。
แม่ต้องรีบไปล่ะ พ่อรออยู่
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.4 2/4 1:37~1:39
(メー トン(グ)リープ パイ ラ ポー ロー ユー)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
お母さんが話した二つの文章のうちの、後半部分です。
(セリフの前半部分は、こちらからご確認いただけます)
phɔ̂ɔ rɔɔ yùu
「ポー」は「父親」の意、それに続く「ロー」は「待つ」という意味の動詞です。
その後ろに「ユー」が来ており、「ロー・ユー」で「待っている(状態にある)」となります。
phɔ̂ɔ rɔɔ yùu
お父さんが待っている
これを踏まえ、お母さんのセリフ全体を訳すと以下のようになります。
mæ̂æ tɔ̂ŋ rîip pai lâ phɔ̂ɔ rɔɔ yùu
お母さんは急いで行かなくちゃ、お父さんが待っているのよ
単語 | 意味 |
---|---|
ポー (phɔ̂ɔ) (พ่อ) | 父親 |
ロー (rɔɔ/รอ) | 待つ (動詞) |
おさらい|タイ語講座第16回のポイント
タイ語講座第16回の本記事では、タイ語で「〜している(〜の状態にある)」と言いたい時の表現について説明しました。
動作を表す動詞(*)(+目的語)+ユー(yùu/อยู่)
(*)「ある時点での状態であること」を示すことで「状態を表す動詞」や「形容詞」が使えるケースもある。
- 「ユー(yùu/อยู่)」は動詞の後ろ
- 目的語は「ユー(yùu/อยู่)」と動詞の間
- 場所を表す「〜で」は、「ユー(yùu/อยู่)」の後ろ
第16回はここまでです。お疲れ様でした。
第17回へ進む場合はこちらから、第15回に戻る場合はこちらからどうぞ。
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- 宇戸清治編『パスポート初級タイ語辞典』(白水社)
- 三上直光著『タイ語の基礎』(白水社)
- 宇戸清治著『初級タイ語のすべて』(IBCパブリッシング)
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