本記事では、タイ語の子音のうち「l(エル)」と「r(アール)」の音を見ていきます。
特に単語の先頭に出てくる「頭子音」の音を比べていきます。
単語の音を実際に聴いて音の違いを知っていただくことに加え、私自身が発音の際に意識している舌の位置と動かし方も載せていますので、ぜひ発音の練習もしてみてください。
では、はじめます。
頭子音「l(ล)」と「r(ร)」で始まるタイ語単語
タイ語の子音「エル(l[タイ文字ではล])」と「アール(r[タイ文字ではร])」、日本語ではこの音を区別しませんが、タイ語では別個の子音として存在します。
「l(エル)」は舌を前歯の裏にしっかりつけてから離す(際に出る)音、一方「r(アール)」は舌の裏側(の先)を前歯の歯茎の上(の方)に軽くつけてから離す(際に出る)音です。
やっかいなのは、タイ語ではこの「l(エル)」と「r(アール)」が違うというだけで他の単語になることがある点です。
具体的に例を挙げてみますので、単語の音を聞き比べてみてください。
「l(エル)」と「r(アール)」の音を比較しやすいよう、頭子音以外の要素(母音、末子音、声調)は全て同じ単語をピックアップしました。
子音 エル[l(ล)] | 子音 アール[r(ร)] |
---|---|
láp (ลับ) (秘密の、隠された) | ráp (รับ) (受ける、受け取る) |
láan (ล้าน) (百万) | ráan (ร้าน) (店) |
laai (ลาย) (柄) | raai (ราย) (案件、項目) |
lam (ลำ) (幹、〜隻・機(類別詞)) | ram (รำ) (踊る、舞う) |
lák (ลัก) (こっそり〜する) láklɔ̂ɔp (ลักลอบ) (こっそり〜する) | rák (รัก) (愛する) |
láaŋ (ล้าง) ((手や皿を)洗う) | ráaŋ (ร้าง) (無人の) kɔ̀-ráaŋ (เกาะร้าง) (無人島) |
lâap (ลาบ) (ラープ) | râap (ราบ) (平らな) |
lóp (ลบ) (消す) | róp (รบ) (戦う) |
lót (ลด) (減る、減らす) | rót (①รถ、②รส、③รด) (①車、②味、③水をかける) |
lûaŋ (ล่วง) (経過する) | rûaŋ (ร่วง) (落ちる) |
lɔɔŋ (ลอง) (試す) | rɔɔŋ (รอง) (次〜、副〜) |
lɔɔi (ลอย) (浮かぶ) | rɔɔi (รอย) (跡、傷) |
lian (เลียน) (真似る) | rian (เรียน) (勉強する) |
læ̂æk (แลก) (交換する) | ræ̂æk (แรก) (最初の、初めて) |
lát (ลัด) (近道をする) thaaŋ-lát (ทางลัด) (近道) | rát (รัด) (きつく締める) |
lâi (ไล่) (追いかける) | râi (ไร่) (畑、ライ(1600平米)) |
lôok (โลก) (世界、地球) | rôok (โรค) (病気) |
頭子音「l(ล)」と「r(ร)」の発音の仕方とコツ
この「l(エル)」と「r(アール)」、もちろん正しく発音できるに越したことはないのですが、正しく発音できなくても、文脈で判断できることも多いため、上手く発音できなくても落ち込む必要はありません。
タイ人の先生から「lとrの音がちゃんと発音できていない」と指摘されても、どうやれば正しい音が出せるのかがその当時は分からなかったんですよね……
発音の際のポイントは舌の位置と、舌の歯(歯茎)への付け方(接触方法)と考えます。
「l(エル)」の音を出す際の舌の位置は前歯(の裏)で、舌(の表側)をしっかり目に前歯の裏につける。
「r(アール)」の音を出す際の舌の位置は前歯の歯茎のもう少し上の方で、舌(の裏側の先)を軽く前歯の歯茎のもう少し上の方につける。
「l(エル)」と「r(アール)」の発音に苦手意識のある方は、ぜひこの点を意識して発音してみてください。
先ほど「上手く発音できなくても落ち込む必要はない」とお伝えしました。
それはその通りなのですが、一方で両者の音に違いがあることを知ることや、(自分なりに)意識して発音してみることはとても大事なことだと思っていますので、落ち込む必要は全くないのですが、ぜひ音を意識することから始めてみてください。
著者が個人的に意識している「l(ล)」と「r(ร)」の単語
タイ語の「l(エル)」と「r(アール)の発音で、私が個人的に意識して発音している単語があるのでご紹介します。
それは、次の2語です。
- เลิก(lə̂ək/ルー(ク)):終わる、やめる
- เริ่ม(rə̂əm/ルー(ム)):始まる、始める
この2語は、末子音が「m(ม)」と「k(ก)」で異なるのですが、
- 母音+声調が同じ音であること(そしてやや発音が難しい)
- 頭子音が「l(ล)」と「r(ร)」で似ていること
- どちらも動詞
- 使うシチュエーションが似ている一方で意味が真逆に近いこと
から、使う際は個人的に意識して発音している単語です。
まずは聞き比べてみていただいて、音の違いを知っていただければと思います。
子音「l(ล)」 | 子音「r(ร)」 |
---|---|
lə̂ək (เลิก) (終わる) 【動詞】 | rə̂əm (เริ่ม) (始まる) 【動詞】 |
母音「ə」の音声はこちら(↓)です。
əとəə | 音声 |
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短母音 ə (เออะ) | |
長母音 əə (เออ) |
母音の発音の仕方やポイントについては、『母音の発音の仕方とコツ』の中で詳しく解説しています。どうぞあわせてご覧ください。
本記事は以上になります。
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