『独学で勉強しよう!超初心者向けタイ語講座』応用編の第4回です。
本講義では、「いる」や「ある」といった意味を持つタイ語の動詞2種「ミー(mii/มี)」と「ユー(yùu/อยู่)」それぞれの動詞の使い方と、その使い分けについて見ていきます。
日本語の「いる」「ある」とは、その使い分けが異なるのがポイントです。
動詞「ミー(mii/มี)」の意味
動詞「ユー(yùu/อยู่)」の意味
「ミー(มี)」と「ユー(อยู่)」の使い分け
2つの動詞の意味と使い分けについて確認した後、タイのBLドラマ『2gether The Series』に出てくるセリフの中から、実際に「ミー(มี)」や「ユー(อยู่)」が使われているシーンをそれぞれ1シーンずつ、ピックアップしてご紹介します。
※タイドラマのセリフを先にチェックしたい方は、こちらのリンクから該当部分(本記事後半)をご確認いただけます。
では、はじめます。
タイ語動詞「ミー/มี」「ユー/อยู่」の意味
タイ語単語:ミー(มี)
「ミー(mii/มี)」という単語には、大きく2つの意味があります。
動詞「ミー(mii/มี)」の意味 |
---|
持っている(所有) |
いる、ある(存在) |
本講義では「ミー(mii/มี)」の「いる、ある(存在)」という意味を掘り下げて見ていきます。
ポイントはカッコ書きで示した「存在」という点です。
タイ語単語:ユー(อยู่)
「ミー(mii/มี)」と同様、動詞「ユー(yùu/อยู่)」にも、いくつかの意味があります。
動詞「ユー(yùu/อยู่)」の意味 |
---|
いる、ある(所在) |
住む、暮らす |
第16回講義) | 〜している、の状態にある(
ここでは「ユー(yùu/อยู่)」の「いる、ある(所在)」の意味を掘り下げて見ていきます。
ポイントはカッコ書きで示した「所在」という点です。
※上表内③「〜している(〜の状態にある)」という意味は、第16回講義「〜している」の中で詳しくお話ししています。そちらもどうぞあわせてご覧ください。
「ミー(มี)」と「ユー(อยู่)」の使い分け
ここからは、「いる・ある」という意味で用いられる「ミー(mii/มี)」と「ユー(yùu/อยู่)」の違いを見ていきます。
「ミー(มี)」・「ユー(อยู่)」のポイント
「ミー(mii/มี)」は人や物の存在を述べる時に使う
人や物の存在そのものを問題にしている
「いるかどうか?」「あるかどうか?」
「場所」+「ミー(mii/มี)」+「人・物」
※「場所」が「人・物」の後ろに来ることもあります
「ユー(yùu/อยู่)」は人や物の所在を述べる時に使う
人や物が存在することが前提で、どこに存在しているのか(=所在)を問題にしている
「どこにいるか?」「どこにあるか?」
「人・物」+「ユー(yùu/อยู่)」+「場所」
「ミー(มี)」・「ユー(อยู่)」を使った例文
ここからは「ミー(มี)」と「ユー(อยู่)」を使った例文をそれぞれ2種、挙げていきます。
例文①「ここにお手洗いはありますか?」
ティー ニー ミー ホン(グ)ナーム マイ カ
thîi nîi mii hɔ̂ŋ náam mái khá
ที่นี่ มี ห้องน้ำ ไหม คะ
ここにお手洗いはありますか?
ここにお手洗いが「あるか否か」を尋ねている。
質問内容は、お手洗いが「ある」か「ない」かを尋ねているので、答えも「あります」か「ありません」のどちらかとなります。
ミー カ
mii khâ
มี ค่ะ
あります。
マイ ミー カ
mâi mii khâ
ไม่ มี ค่ะ
ありません。
男性の表現にする場合は、文末の「カ(khâ/ค่ะやkhá/คะ)」を「クラップ(khráp/ครับ)」に変更していただければと思います。
単語 | 意味 |
---|---|
ティーニー (thîi nîi) (ที่นี่) | ここに |
ホン(グ)ナーム (hɔ̂ŋ náam) (ห้องน้ำ) | お手洗い (←水+部屋) ※ホン(グ)(hɔ̂ŋ/ห้อง):場所 ※ナーム(náam/น้ำ):水 |
例文②「お手洗いはどこにありますか?」
ホン(グ)ナーム ユー ティーナイ カ
hɔ̂ŋ náam yùu thîi nǎi khá
ห้องน้ำ อยู่ ที่ไหน คะ
お手洗いはどこにありますか?
(ここにお手洗いがある前提で)お手洗いがどこにあるのかを尋ねている。
「お手洗いがどこにあるのか」を尋ねているので、答えには「お手洗いのある場所」が来る。
ホン(グ)ナーム ユー ターン(グ)ニー カ
hɔ̂ŋ náam yùu thaaŋ níi khâ
ห้องน้ำ อยู่ ทางนี้ ค่ะ
(行く方向を示しながら)お手洗いはこちらです。
ホン(グ)ナーム ユー ターン(グ)ニー クラップ
hɔ̂ŋ náam yùu thaaŋ níi khráp
ห้องน้ำ อยู่ ทางนี้ ครับ
(行く方向を示しながら)お手洗いはこちらです。
この質問の場合、「お手洗いがあることが前提で」質問しているので、答えも「ある」「ない」の二択にはならない点がポイントです。
単語 | 意味 |
---|---|
ティーナイ (thîi nǎi) (ที่ไหน) | どこに ※後の講義回(『疑問詞を使った疑問文』)で解説予定です |
ターン(グ)ニー (thaaŋ níi) (ทางนี้) | こちら (こちらの方) ※英語の「this way」に相当 |
例文③「この辺りに駐車場はありますか?」
テーオ ニー ミー ティー ジョー(ト)ロッ(ト)マイ カ
thæ̌æo níi mii thîi cɔ̀ɔt rót mái khá
แถวนี้ มี ที่จอดรถ ไหม คะ
この辺りに駐車場はありますか?
この辺りに駐車場が「あるか否か」を尋ねている。
例文①と同様、例文③の質問内容も駐車場が「ある」か「ない」かを尋ねているので、答えも「あります」か「ありません」のどちらかとなります。
ミー カ
mii khâ
มี ค่ะ
あります。
マイ ミー カ
mâi mii khâ
ไม่ มี ค่ะ
ありません。
男性の表現にする場合は、文末の「カ(khâ/ค่ะやkhá/คะ)」を「クラップ(khráp/ครับ)」に変更していただければと思います。
単語 | 意味 |
---|---|
テーオ・ニー (thæ̌æo níi) (แถวนี้) | この辺り ※「ニー」は「この」という意味の指示語です (第19回講義で出てきました) |
ティー ジョー(ト)ロッ(ト) (thîi cɔ̀ɔt rót) (ที่จอดรถ) | 駐車場 (←車を駐車する場所) ※ティー(thîi/ที่):場所 ※ジョー(ト)(cɔ̀ɔt/จอด):駐車する ※ロッ(ト)(rót/รถ):車 |
例文④「駐車場はどこにありますか?」
ティー ジョー(ト)ロッ(ト)ユー ティーナイ カ
thîi cɔ̀ɔt rót yùu thîi nǎi khá
ที่จอดรถ อยู่ ที่ไหน คะ
駐車場はどこにありますか?
(駐車場がある前提で)駐車場がどこにあるのかを尋ねている。
ティー ジョー(ト)ロッ(ト)ユー ターン(グ)ノーン カ
thîi cɔ̀ɔt rót yùu thaaŋ nóon khâ
ที่จอดรถ อยู่ ทาง โน้น ค่ะ
(少し遠くを指して)駐車場はあちら(あちらの方)にあります。
ティー ジョー(ト)ロッ(ト)ユー ターン(グ)ノーン クラップ
thîi cɔ̀ɔt rót yùu thaaŋ nóon khráp
ที่จอดรถ อยู่ ทาง โน้น ครับ
(少し遠くを指して)駐車場はあちら(あちらの方)にあります。
単語 | 意味 |
---|---|
テーオ・ナイ (thæ̌æo nǎi) (แถวไหน) | どの辺り ※「ナイ」の使い方については、第20回講義の中で触れています |
ターン(グ)ノーン (thaaŋ nóon) (ทางโน้น) | あちら (あちらの方) ※「ノーン」は「あの」という意味の指示語です (第19回講義で出てきました) |
日本語の「いる・ある」とタイ語の「ミー・ユー」の違い
日本語の「いる」と「ある」は、「いる」は人間や動物、「ある」は物や植物に用いるなど、その「対象」が人か物か、といった基準で使い分けを行いますよね。
一方、タイ語の場合「ユー(อยู่)」と「ミー(มี)」はその対象は問わず、人や物にどちらも使えますが、それが「存在」について述べた文か、「所在」について述べた文かによって、「ユー(อยู่)」を使うのか「ミー(มี)」を使うのかを判断します。
【余談】日本語勉強中のタイ人の作文を添削した話
この「ユー(อยู่)」と「ミー(มี)」の使い分けに関連して、こんな話がありました。
日本語を勉強しているタイ人の友人から頼まれて、日本語の作文を添削した際の話です。
以下の日本語文(に添削用のタイ語文が添えられたもの)が送られてきました。
一人で家にいると、とても寂しいです。
でも犬があったら寂しくないと思います。เวลาอยู่บ้านคนเดียว เหงามาก
แต่ถ้ามีสุนัขอยู่ด้วย คิดว่าคงไม่เหงาweelaa yùu bâan khon diao ŋǎo mâak
tæ̀æ thâa mii sùnák yùu dûai khít wâa mâi ŋǎo
日本人がこの日本語文を読むと、すぐにおかしいと感じる部分がありますよね。
そうです、「犬があったら」の部分です。
日本語では、動物や人間に対して「ある」は使わないですよね。
ですが、タイ語の場合そこが使い分けの基準ではないことがわかる例かなと思い、挙げてみました。
(その友人からは、「良い教材になるから」と、この作文自体を掲載することの許可をいただいています)
タイドラマでみる、動詞「ユー(อยู่)」「ミー(มี)」
タイのBLドラマ『2gether』のセリフ①
Sarawatに近づくために、Sarawatのスケジュールを見つけ探しに行くTine達。
そのシーンでのOhmの一言と、その発言への周りの反応。
Ohm:ความเป็นจริงตอนนี้สารวัตรอยู่ตึกเรียนรวม
(クワーム・ペン・チン トーンニー サーラワッ(ト)ユー トゥッ(ク)・リアン・ルアム)
Tine, Phuak, Fong:ตึกเรียนรวม
(トゥッ(ク)・リアン・ルアム)
Sarawatの追っかけ(ファン):ตึกเรียนรวม
(トゥッ(ク)・リアン・ルアム)
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.1 2/4 4:44~
※括弧書きは本記事の著者によるもの
クワーム・ペン・チン トーンニー サーラワッ(ト)ユー トゥッ(ク)・リアン・ルアム
khwaan pen ciŋ tɔɔnníi Sarawat yùu tɨ̀k rian ruam
トゥッ(ク)・リアン・ルアム
tɨ̀k rian ruam
トゥッ(ク)・リアン・ルアム
tɨ̀k rian ruam
クワーム・ペン・チン トーンニー サーラワッ(ト)ユー トゥッ(ク)・リアン・ルアム
khwaan pen ciŋ tɔɔnníi Sarawat yùu tɨ̀k rian ruam
実はSarawatは今講義棟にいる
トゥッ(ク)・リアン・ルアム
tɨ̀k rian ruam
講義棟!?
トゥッ(ク)・リアン・ルアム
tɨ̀k rian ruam
講義棟!?
単語 | 意味 |
---|---|
クワーム・ペン・チン (khwaan pen ciŋ) (ความเป็นจริง) | 事実、現実 |
トーンニー (tɔɔnníi) (ตอนนี้) | 今 |
トゥッ(ク)・リアン・ルアム tɨ̀k rian ruam ตึกเรียนรวม | 講義棟、本館 (←一緒に勉強する建物) ※トゥッ(ク)(tɨ̀k/ตึก):建物 ※リアン(rian/เรียน):勉強する ※ルアム(ruam/รวม):集める、一緒に〜する |
タイのBLドラマ『2gether』のセリフ②
引き出しを開けたTineは、以前Sarawatからもらった付箋を見つける。
そこに書かれていた言葉。
มีคนจีบแล้ว สารวัตร
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series EP.13 1/4 16:06-16:09
(ミー コン ジー(プ)レーオ サーラワッ(ト))
※括弧書きは本記事の著者によるもの
ミー コン ジー(プ)レーオ サーラワッ(ト)
mii khon cìip lǽæo Sarawat
「人」を意味する「コン」の後ろに来ている「ジー(プ)」は、「口説く」という意味の動詞です。
その後ろの「レーオ」は、「もう〜した」という「完了」を意味する語であると、第17回講義で学習しました。
まとめると、「口説く人が既にいる」という意味になります。
(「口説く人」は自分=Sarawatを指している)
ミー コン ジー(プ)レーオ サーラワッ(ト)
mii khon cìip lǽæo Sarawat
口説く人は既にいるぞ Sarawat
単語 | 意味 |
---|---|
ジー(プ) (cìip) (จีบ) | 口説く (動詞) |
レーオ (lǽæo) แล้ว | もう〜した (完了) ※第17回講義で出てきました |
おさらい|タイ語単語「ミー/มี」と「ユー/อยู่」の使い方
タイ語講座応用編第4回の本記事では、タイ語の動詞2種「ミー(mii/มี)」と「ユー(yùu/อยู่)」それぞれの使い方と、その使い分けについて見てきました。
さいごに、本講義のポイントを改めて確認します。
人や物の存在を述べる時に使う
※人や物の存在そのものを問題にしている
人や物の所在を述べる時に使う
※人や物が存在することが前提で、どこに存在しているのか(=所在)を問題にしている
応用編第4回講義はここまでです。お疲れ様でした。
これまでの応用編講義は以下のリンクからどうぞ。
応用編第1回『名前と年齢の言い方』
応用編第2回『ペン(เป็น)とワイ(ไหว)を使った可能表現』
応用編第3回『コー(ขอ)の2つの使い方:「〜させてください」「〜をください」』
- 冨田竹二郎編『タイ日大辞典』(めこん)
- 宇戸清治編『パスポート初級タイ語辞典』(白水社)
- 三上直光著『タイ語の基礎』(白水社)
- 宇戸清治著『初級タイ語のすべて』(IBCパブリッシング)
- 赤木攻監修 中島マリン・吉川由佳著『間違いだらけのタイ語』(めこん)
- JittiRain著『2gether vol. 1 (เพราะเราคู่กัน 1) 』(everY)※電子書籍