『独学で勉強しよう!超初心者向けタイ語講座』の第12回です。
第12回講義では、タイ語の可能形「できる/できます」「できない/できません」「できる?/できますか?」の言い方について見ていきます。
今回の講義でぜひ押さえていただきたいのは、以下の3つの表現です。
ダーイ
:できる(できます)
:できない(できません)
:〜できる(できますか)?
記事内で詳しくお話していきます。
本記事の流れです。
- 第12回講義の3つのポイント
【ポイント1:肯定文】できる「ダーイ」
【ポイント2:否定文】できない「マイ・ダーイ」
【ポイント3:疑問文】できる?「ダイ・マイ」
↓ - 例文3種
【例文1】彼はタイ語が話せる
【例文2】私はチェンマイに行けない
【例文3】彼はタイ語が話せるの?
↓ - タイドラマに出てくるセリフを確認する
↓ - まとめ:
タイ語での可能形の言い方
例文を3種類見た後に、タイの人気BLドラマ『プロ・ラオ・クーガン/2gether The Series』に出てくるセリフ(ワンフレーズ)を2シーン、ご紹介します。
そして最後にもう一度、本記事のポイントをおさらいします。
※タイドラマのセリフを先にチェックしたい方は、こちらのリンクから該当部分(本記事後半)をご確認いただけます。
では、はじめます。
タイ語講座第12回のポイント:可能形の言い方
本講義のテーマは、タイ語の可能形の言い方です。
具体的には、「できる/できます」「できない/できません」「できる?/できますか?」の3つの表現を見ていきます。
第12回講座のポイント①「ダーイ」
最初の表現は「ダーイ(dâai/ได้)」です。
- ダーイ(dâai/ได้)
できる(できます)
→動詞(+目的語)の後ろに「ダーイ(dâai/ได้)」を置く
語順(「ダーイ」を置く位置)がポイントです。
主語+動詞+(目的語)+「ダーイ(dâai/ได้)」
後ほど例文の中で使い方を詳しく見ていきます。
第12回講座のポイント②「マイ・ダーイ」
二つ目の表現は「マイ・ダーイ(mâi dâai/ไม่ได้)」です。
- マイ・ダーイ(mâi dâai/ไม่ได้)
できない(できません)
→動詞(+目的語)の後ろに「マイ・ダーイ(mâi dâai/ไม่ได้)」を置く
こちらも、語順(「マイ・ダーイ」を置く位置)がポイントです。
主語+動詞+(目的語)+「マイ・ダーイ(mâi dâai/ไม่ได้)」
「できない」を意味する「マイ・ダーイ(mâi dâai/ไม่ได้)」は、実際の会話では「マイ」が「メ」に変わり
「メ・ダーイ(me dâai/ไม่ได้)」
と発音されることが多いです。
(タイ文字のスペルは変わりません)
※本講義内では「マイ・ダーイ」と統一して書きます
主語+動詞+(目的語)+「マイ・ダーイ(mâi dâai/ไม่ได้)」
「マイ・ダーイ」の位置を動詞の前(その場合は音が「マイ・ダイ」とやや短め)にすると、過去を表す否定文になりますのでご注意ください。
(第7回講義でお話ししています)
こちらも例文で詳しく見ていきます。
第12回講座のポイント③「ダイ・マイ」
最後に見ていきたいのが、疑問文に使う「ダイ・マイ(dâi mái/ได้ไหม)」です。
- ダイ・マイ(dâi mái/ได้ไหม)
〜できる(できますか)?
→文章(通常文)の後ろに「ダイ・マイ(dâi mái/ได้ไหม)」を置く
文章(通常文)+「ダイ・マイ」
文章(通常文)の後ろに「ダイ・マイ」をつけると疑問文になります。
こちらも、今からご紹介する例文の中で詳しく見ていきます。
「ダイ・マイ(dâi mái/ได้ไหม)」の「マイ(mái/ไหม)」は、第11回講義で学習した疑問文につける「マイ(mái/ไหม)」です。
「〜できる(できますか)?」という可能かどうかを問う疑問文の場合は、「マイ(mái/ไหม)」の前に「ダイ(dâi/ได้)」をつけます。
例文から見る、タイ語の可能形の言い方
では例文を見ていきます。
まず最初にご紹介するのは、「〜できる」という肯定文です。
【例文1】「彼はタイ語が話せる」
最初の例文は、「彼はタイ語が話せる(彼はタイ語を話すことができる)」です。
kháo phûut phaasǎa thai dâai
เขา พูด ภาษาไทย ได้
彼はタイ語が話せる
ここで、通常の文(「彼はタイ語を話す」)と、可能形の文章を比べてみます。
カオ プー(ト) パーサー・タイ
(彼はタイ語を話す)
⇕
カオ プー(ト) パーサー・タイ ダーイ
(彼はタイ語が話せる)
「プー(ト)」は「話す」という意味の動詞です。
「彼はタイ語を話す(カオ プー(ト) パーサー・タイ)」という文章の後ろに、「〜できる」を意味する「ダーイ」を置くことで、「彼はタイ語が話せる」という可能形の文章になります。
単語 | 意味 |
---|---|
プー(ト) (phûut) (พูด) | 話す (動詞) |
続いて、今見てきた「彼はタイ語が話せる」を丁寧にした文を見ていきます。
(丁寧文については第5回講義で学習しました)
(話し手が女性)
kháo phûut phaasǎa thai dâai khâ
เขา พูด ภาษาไทย ได้ ค่ะ
彼はタイ語が話せます。
※話し手は女性
(話し手が男性)
kháo phûut phaasǎa thai dâai khráp
เขา พูด ภาษาไทย ได้ ครับ
彼はタイ語が話せます。
※話し手は男性
丁寧文にするための「カ」や「クラップ」は、「ダーイ」の後ろに置きます。
カ」【女性】
主語+動詞+(目的語)+「ダーイ」+「クラップ」【男性】
【例文2】否定文「私はチェンマイに行けない」
続いての例文は「私はチェンマイに行けない」という文章です。
【例文2-1】「私はチェンマイに行けない(行くことができない)」
chán cà pai chiaŋmâi mâi dâai
ฉันจะไปเชียงใหม่ไม่ได้
私はチェンマイに行けない(行くことができない)
続いて、この「私はチェンマイに行けない」を丁寧にした文を見ていきます。
【例文2-2】「私はチェンマイに行けません(行くことができません)」
(話し手が女性)
chán cà pai chiaŋmâi mâi dâai khâ
ฉัน จะ ไป เชียงใหม่ ไม่ได้ ค่ะ
私はチェンマイに行けません。
※話し手は女性
【例文2-3】「僕はチェンマイに行けません(行くことができません)」
(話し手が男性)
phǒm cà pai chiaŋmâi mâi dâai khráp
ผมจะไปเชียงใหม่ไม่ได้ครับ
僕はチェンマイに行けません。
※話し手は男性
肯定文と同様、否定文の場合も丁寧文にするための「カ」や「クラップ」は、「マイ・ダーイ」の後ろに置きます。
カ」【女性】
主語+動詞+(目的語)+「マイ・ダーイ」+「クラップ」【男性】
【例文3】疑問文「彼はタイ語が話せるの?」とその答え
続いての例文は、【例文1】の「彼はタイ語が話せる」を疑問文にしたものです。
【例文3-1】疑問文「彼はタイ語が話せるの?」
kháo phûut phaasǎa thai dâi mái
เขา พูด ภาษาไทย ได้ ไหม
彼はタイ語が話せるの(か)?
ここで、今回の例文(疑問文)と【例文1】で見た可能形の文章(「彼はタイ語を話せる」)を比べてみます。
カオ プー(ト) パーサー・タイ ダイ
(彼はタイ語が話せる)
⇕
カオ プー(ト) パーサー・タイ ダイ・マイ
(彼はタイ語が話せるの(か)?)
続いて、疑問文「彼はタイ語が話せるの(か)?」を丁寧にした文を見ていきます。
【例文3-2】疑問文「彼はタイ語が話せますか?」
kháo phûut phaasǎa thai dâi mái khá(*)
เขา พูด ภาษาไทย ได้ ไหม คะ
彼はタイ語が話せますか?
※話し手は女性
女性が話し手の場合、疑問文を丁寧な表現にする際は文末に「カ」をつけますが、その場合は「khâ/ค่ะ」ではなく「khá/คะ」となります(声調とタイ文字のスペルが変わります)。
詳しくは第10回講義をご確認ください。
【例文3-3】疑問文「彼はタイ語が話せますか?」
kháo phûut phaasǎa thai dâi mái khráp
เขา พูด ภาษาไทย ได้ ไหม ครับ
彼はタイ語が話せますか?
※話し手は男性
肯定文・否定文と同様、疑問文の場合も丁寧文にするための「カ」や「クラップ」は、「ダイ・マイ」の後ろに置きます。
【例文3-4】返事の仕方
(話し手が女性)
dâai khâ
ได้ ค่ะ
できます
※話し手は女性
(話し手が男性)
dâai khráp
ได้ ครับ
できます
※話し手は男性
(話し手が女性)
mâi dâai khâ
ไม่ ได้ ค่ะ
できません
※話し手は女性
(話し手が男性)
mâi dâai khráp
ไม่ ได้ ครับ
できません
※話し手は男性
「ダーイ」以外の可能を表す言い方2種:「ペン」と「ワイ」
タイ語には、今回ご紹介した「ダーイ(dâai/ได้)」以外にも、可能「できる」を表す言い方が2種類あります。
それは「ペン(pen/เป็น)」と「ワイ(wǎi/ไหว)」です。
応用編第2回講義で詳しくお話ししていますので、ぜひあわせてご確認ください。
【タイ語講座応用編2】「ダーイ」以外の可能を表す言い方2種:「ペン」と「ワイ」
タイドラマ『2gether』でみる、タイ語の可能形の作り方
タイのBLドラマのセリフ①「マイ・ダーイ」
SarawatがPamの告白を断るシーンでの、Sarawatのセリフです。
เราขอโทษ
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series Ep.13 2/4 2:23~2:29
(ラオ コートー(ト))
เรารักแกไม่ได้
(ラオ ラッ(ク) ゲー メ・ダーイ)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
Sarawatの2つのセリフのうち、今回の可能形が出てくる2番目のセリフを先に見てみます。
rao rák kææ me dâai
俺はお前を愛せない
「ラオ」は「私たち」を意味する言葉ですが、自分自身(この場合はSarawat)を指す場合にも使われます。ここでは、Sarawatが自分自身を指して言っている言葉です。
次の「ラッ(ク)」は「愛する」という動詞、その次の「ゲー」は相手を意味する二人称代名詞(ここでは「お前」です。
ここまでの「ラオ ラッ(ク) ゲー」で、「俺はお前を愛する」というSVOの文章ができています(こちらは第1回講義で出てきました)。
その後ろに「メ・ダーイ(マイ・ダーイ)」が来ることで、「俺はお前を愛することができない」という否定の可能形となります。
Sarawatの最初のセリフに戻ります。
rao khɔ̌ɔ thôot
ごめん
ここで最初に出てくる「ラオ」も、先ほどと同じで本来は「私たち」の意味ですがここでは自分自身(Sarawat)を指す語として使われています。
「コートー(ト)」は、「ごめんなさい」「すみません」という意味の語です。
それではSarawatの2つのセリフをまとめて見てみます。
ラオ ラッ(ク) ゲー メ・ダーイ
rao khɔ̌ɔthôot
rao rák kææ me dâai
ごめん
俺はお前を愛せない
単語 | 意味 |
---|---|
ラオ (rao/เรา) | 私たち ※自分自身を表すことも |
コートー(ト) (khɔ̌ɔthôot) (ขอโทษ) | ごめんなさい すみません |
ラッ(ク) (rák/รัก) | 愛する (動詞) |
ゲー (kææ/แก) | お前 (二人称代名詞) |
タイのBLドラマのセリフ②「ダイ・マイ」
大学のオープンハウスで、TineがSarawatの弟Phukongを案内することに。
Pearと二人きりになりたいTineは、Phukongに、1-2時間どこかへ行ってもらうようお願いするシーン。
มึงช่วยหายไปสักชั่วโมงสองชั่วโมงได้มั้ย
出所(ที่มา):เพราะเราคู่กัน 2gether The Series Ep.4 2/4 7:35~7:38
(ムン(グ)チュアイ ハーイ パイ サッ(ク)チュアモーン(グ) ソーン(グ)チュアモーン(グ) ダイ・マイ)
※括弧書きは本記事の著者によるもの
mɨŋ chûai hǎai pai sàk chûamooŋ sɔ̌ɔŋ chûamooŋ dâi mái
やや長い文章なので、少しずつ分解して見ていきましょう。
mɨŋ chûai hǎai pai
まずは最初の4語を見ていきます。
「ムン(グ)」は「お前」を意味する語、その後ろの「チュアイ」は元々は「助ける」という意味の動詞ですが、ここでは「相手に〜をしてもらう」という意味で使われています。
また、その後ろに来ているのが「ハーイ・パイ」で「いなくなる」という意味の語です。
ここまでを訳すと、
mɨŋ chûai hǎai pai
お前にいなくなってもらう
となります。
その後ろの語を見てみます。
sàk chûamooŋ sɔ̌ɔŋ chûamooŋ
「サッ(ク)」は「ほんの、〜ほど」といった意味の語、その後ろの「チュアモーン(グ)」は「時間」という意味の語、「ソーン(グ)」は数字の「2」で、「チュアモーン(グ)ソーン(グ)チュアモーン(グ)」で「1〜2時間」となります。
これに「サッ(ク)」を加えると、この部分で以下のような意味になります。
sàk chûamooŋ sɔ̌ɔŋ chûamooŋ
1〜2時間ほど
この後ろに可能かどうかを尋ねる「ダイ・マイ(できる?)」が来ています。
Typeのセリフ全体をまとめて訳してみます。
mɨŋ chûai hǎai pai sàk chûamooŋ sɔ̌ɔŋ chûamooŋ dâi mái
1〜2時間ほどいなくなってくれる(くれない)?
↑
1〜2時間ほどいなくなってもらうことはできる?
単語 | 意味 |
---|---|
ムン(グ) (mɨŋ/มึง) | お前 |
チュアイ (chûai) (ช่วย) | 助ける、〜してもらう |
ハーイ (hǎai) (หาย) | 消える ※「ハーイ・パイ」で「(い)なくなる」 |
サッ(ク) (sàk/สัก) | ほんの、〜ほど |
チュアモーン(グ) (chûamooŋ) (ชั่วโมง) | 時間 |
ソーン(グ) (sɔ̌ɔŋ) (สอง) | 数字の「2」 |
おさらい|タイ語講座第12回のポイント
タイ語講座第12回の本記事では、タイ語の可能形について説明しました。
- ダーイ(dâai/ได้)
できる(できます)
【肯定文】 - マイ・ダーイ(mâi dâai/ไม่ได้)(*)
できない(できません)
【否定文】
(*)会話では「メ・ダーイ」と発音されることが多い - ダイ・マイ(dâi mái/ได้ไหม)
〜できる(できますか)?
【疑問文】
第12回はここまでです。お疲れ様でした。
第13回講義はこちらから、第11回に戻る場合はこちらからどうぞ。
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